夢のアンデス

ゆめのあんです THE CORDILLERA OF DREAMS
上映日
2021年10月9日

製作国
チリ フランス

制作年
2019
上映時間
85分

レーティング
一般映画
ジャンル
社会派

check解説

1973年の軍事クーデターの真実を世界に伝えた「チリの闘い」のパトリシオ・グスマンが、「光のノスタルジア」「真珠のボタン」に続き、チリの歴史的記憶と政治的トラウマを、その人為を見てきたアンデス山脈の神性との関係で描く三部作ドキュメンタリーの最終章。世界で初めて選挙によって選出されたサルバドール・アジェンデの社会主義政権を、米国CIAの支援のもと、アウグスト・ピノチェトの指揮する軍部が武力で覆した軍事クーデター。ピノチェト政権は左派をねこそぎ投獄し、3000人を超える市民が虐殺された。監督のパトリシオ・グスマンは「チリの闘い」の撮影後、政治犯として連行されるも釈放され、フィルムを守るためパリに亡命、映画を完成させた。「2度と祖国で暮らすことはない」と話すグスマンにとってアンデス山脈とは、永遠に失われた輝かしいチリ=夢の象徴である。いまなお続く、ピノチェトの遺産……新自由主義の実験の場となった母国の行く末を憂いて、時間的・空間的距離を自在に飛翔するカメラとともに、グスマンとチリの人びとは内省の旅を続ける。絶望をこえ、過去と未来を見据え、どう生きるべきか、私たちの「今」を問う力作。2019カンヌ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞、インディペンデント批評家賞W受賞。
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この作品のレビュー

映画専門家レビュー

  • 米文学・文化研究
    冨塚亮平
    アンデス山脈と所縁の深い彫刻家たちの証言は、祖国を後にしたグスマンが現地に読みこもうとする象徴性とあまり?み合っていないようにも見えるものの、長年チリ政治の腐敗... もっと見る
  • 日本未公開映画上映・配給団体Gucchi's Free School主宰
    降矢聡
    激動のチリを見守ってきたアンデス山脈の岩の言葉を理解できれば、失われた答えがわかると映画作家はいう。それこそが芸術家の仕事なのだと。でもどうやって? アンデス山... もっと見る
  • 文筆業
    八幡橙
    「光のノスタルジア」、「真珠のボタン」に続く三部作最終章。第一作では星と砂漠を、第二作では海と水を美しく映し出し、大自然の恵みと悠久の時を通じて、隠蔽されたチリ... もっと見る

「夢のアンデス」のストーリー

ピノチェトは世界で初めて新自由主義に基づく経済の自由化を推し進めた。そして、芸術、文化、健康、教育すべてにおいて利益最優先の価値観を人々にもたらした。その結果、チリ社会は国民の間に激しい格差を生み、主要産業である銅の採掘は今やほとんどを多国籍企業が担っている。ピノチェト政権は国の財産を売り渡したのだ……。アンデスの原材料を使って作品を制作する彫刻家のビセンテ・ガハルドとフランシスコ・ガシトゥア。歴史や小説の作家であるホルヘ・バラディッドは、現代のチリの社会・経済構造におけるピノチェトのプロジェクトの継続について語り、音楽家のハビエラ・パラは、子供の頃に目撃した暴力を思い出す。1980年代以降、政治的抵抗や国家による暴力行為を記録するために活動してきた映像作家であり、今も街で市民のデモを撮影するアーキビストでもあるパブロ・サラスは語る。記録し、どんな時代だったのか次の世代に伝えたい。二度と過ちを繰り返さないために……。

「夢のアンデス」の映像

「夢のアンデス」の写真

「夢のアンデス」のスタッフ・キャスト

スタッフ
キャスト役名

「夢のアンデス」のスペック

基本情報
ジャンル 社会派
製作国 チリ フランス
製作年 2019
公開年月日 2021年10月9日
上映時間 85分
製作会社 Atacama Productions=ARTE
配給 アップリンク
レイティング 一般映画
カラー/サイズ カラー
公式サイト https://www.uplink.co.jp/andes
コピーライト (C) Atacama Productions - ARTE France Cinema - Sampek Productions - Market Chile / 2019

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