少年と犬の映画専門家レビュー一覧

少年と犬

TV『アウター・リミッツ』などの脚本家としても活躍した作家ハーラン・エリスンによる同名小説を原作とした異色SFを日本劇場初公開。2024年、第4次世界大戦で地球は荒廃。遺伝子変異によって女性が生まれなくなり、テレパシーで喋る犬と少年は地下世界へ向かう。出演はTV『特捜刑事マイアミ・バイス』のドン・ジョンソン、「雨にぬれた舗道」のスザンヌ・ベントン、「バックマン家の人々」のジェイソン・ロバーズ。サム・ペキンパー作品の常連俳優として知られるL・Q・ジョーンズが監督を務める。
  • 映画監督/脚本家

    いまおかしんじ

    砂漠で少年と犬が喧嘩している。少年は女が欲しい。犬は食料が欲しい。激しい言い争い。結局犬に言い負かされる。「わかった。お前の言う通りにするよ」。近未来は犬とテレパシーで会話ができる。ヒロインの女の子が可愛くてセクシーでちょっとずるくてたまらん。ちゃんと裸もある。サービス満点だ。砂漠にも娯楽施設があって映画をやっている。裸の女の人がキャーキャー喚いている。ポルノ映画だろうか。犬はポップコーンが好き。やるよと言われて嬉しそうに食う犬がかわいい。

  • 文筆家/俳優

    睡蓮みどり

    かつてのSFは時を超えて、その設定のリアルさと滑稽さで観るものを驚かせる。粗野な青年と理性的な犬の旅。地上の荒廃した世界では戦いを繰り返し、一見平和な地下では徹底した管理社会の下、白塗りの人間たちの恐ろしい笑顔を貼り付けている。「アンダー・ザ・シルバーレイク」もやはり本作の影響を受けたのだろうか。性欲を持て余した少年が主人公の物語はいつでも受け付け難いが、皮肉屋な犬ブラッドの演技も素晴らしく、怖いもの見たさも含めぜひ一度は見ることをお勧めする。

  • 映画批評家、都立大助教

    須藤健太郎

    SFの顔をした寓話だが、何の寓話かというと、男同士の絆をめぐるもの。第4次大戦の影響で世界は荒廃。遺伝子の異常で女性が生まれず、男性ばかりになった未来を舞台にした、少年と犬のブロマンス。これはディストピアというよりホモソーシャルのユートピアであり、少年と犬の仲のためには女の犠牲が必要という話でしかない。女をレイプしながら罠にはめられただとか、レイプされた女が少年に恋をするとか、ミソジニーの典型が随所にちりばめられているのもそれゆえである。

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