ホテルコパンの映画専門家レビュー一覧

ホテルコパン

「極道大戦争」の市原隼人主演による群像劇。生徒の自殺がトラウマとなりホテルコパンで働き始めた元教師・海人。以前の活気を取り戻そうと躍起になるオーナーや不愛想な従業員と共に働いていたある日、ワケありの宿泊客が次々と訪れる。共演は「紙の月」の近藤芳正、「忘れないと誓ったぼくがいた」の大沢ひかる、「ガキ・ロック」の前田公輝、「ファイナル・ジャッジメント」の水田芙美子、「TOKYO CITY GIRL」の栗原英雄、「水の声を聞く」の玄理、「ハヌル SKY」の大谷幸広、「山本慈昭 望郷の鐘 満蒙開拓団の落日」の李麗仙、「うなぎ」の清水美沙。「7s セブンス」などのプロデューサーを務めた門馬直人の長編監督デビュー作。
  • 映画評論家

    上島春彦

    撮影が良く、照明も凝りまくっておりこれでも星を足した。美術設定も大がかりでかなり予算を使っているのは間違いないが、肝心の物語が未熟。ただし偽教祖さまの偽予言がちゃんと奇跡を呼ぶ、というオチには洒落が利いている。このエピソードは、氷が溶けたら何になるというなぞなぞの答えがキーになっていて、きちんと出来ていた。だが「グランド・ホテル」形式にこだわりすぎ、全体、かえって散漫な印象。さらに李麗仙があまりに宝の持ち腐れで、結構、頭をかかえてしまった私。

  • 映画評論家

    北川れい子

    長野県白馬村のさびれかけたホテルというリアルな設定と、週刊誌のこぼれ記事にでもなりそうな曰くありげな10人の客たち。ホテルのオーナーや従業員たちも悩みを抱えていて、深刻なドラマにするか、コメディーを狙うか、監督のサジかげん。結局、門間監督はシリアスコメディーという座りのいい手法で人物たちを演出、コクやキレはないが、グランド・ホテル形式に挑戦した意欲は買う。何とかしてほしかったのは、男性モデル並のソフトモヒカン頭で登場する市原隼人。この役でこの頭?

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    グランド・ホテル形式で丁寧に描かれる群像劇に好感を持って観たが、全員がえらく前向きな結末に向かって進むので、キレイ事の感が拭えず。「さよなら歌舞伎町」が性を発露する剥き出しの場ゆえに作劇が特徴づけられたように、長野五輪開催地という舞台の特徴が作劇に活かされたとは思えないのが惜しい。東京五輪に浮かれる連中への揶揄も可能な設定なのに。元教師のホテルマンという市原隼人は直情的で腕っぷしの強い教師時代と穏やかな今とを、自身の無骨さと愛嬌を活かして好演。

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