TSUKIJI WONDERLAND(築地ワンダーランド)の映画専門家レビュー一覧
TSUKIJI WONDERLAND(築地ワンダーランド)
2016年11月に豊洲への移転を予定している東京都中央卸売市場築地市場。一般人が立ち入ることのできない深部も含め、その現場を1年以上に渡って撮影したドキュメンタリー。およそ80年に渡って日本の食文化を支え続けてきた魚河岸の全貌が明かされる。「二郎は鮨の夢を見る」で取り上げられるなど海外でも有名な寿司店“すきやばし次郎”や料理人の道場六三郎などにも取材を敢行している。
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評論家
上野昻志
いま、移転を巡って何かと問題の築地市場のドキュメンタリーだ。映画として目を見張るようなところはないが、築地に働く人々の声が聞けたのは良かった。とくに、仲卸の人たち。なかでも、一番良い魚を選ぶということではなく、お客さんにとって良いと思う魚を選ぶのだ、という意見には、なるほどと膝を打った。魚を見分ける術もさることながら、買う側との連携が大事というわけだ。それと、魚離れの著しい今日、港区の小学校が丸焼きの魚を給食に出す試みをしていることに感心した。
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映画評論家
上島春彦
築地市場の移転がこんな風にねじれるとは誰も予測していなかった時期に完成した作品。なので食育とか多様な話題を取り上げつつも政治的な生臭い問題は避けている。それが正解。様々なエキスパートや卸の職人が自分の先祖伝来、培った技術で流通業界に貢献するのをじっくり見せる。昔こういう番組、衛星NHKで見たな、と思ったら同じハーバードの文化人類学の先生が現れ、ひとくさり。築地が日本観光の人気スポットになったのは彼の著書のおかげ。なので題名も横文字。撮影も良好だ。
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映画評論家
モルモット吉田
外国人が撮った築地ドキュメンタリーだと最後のクレジットが出るまで思い込んでいた。見事に騙されたというべきか。映像もナレーションも如何にもそれ風なのだ。こじんまりしたテレビのドキュが劇場公開される時代に、海からの空撮で派手に始まるこうしたアプローチはアリ。外人観光客が詰めかける理由も見えてくるが、この映像のトーンは食を映すには不似合い。外人研究者が築地で落とし物をしても戻ってくるとオーバーに言うのを日本人が得意げに撮っていたのかと思うと……。
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