無伴奏の映画専門家レビュー一覧

無伴奏

直木賞作家、小池真理子の半自伝的小説を若手実力派キャストの共演で映画化。学生運動華やかなりし1969年の仙台を舞台に、クラシック音楽の流れる喫茶店で2人の青年と出会った女子高生が、恋を経験して大人の女性に成長してゆく。出演は「極道大戦争」の成海璃子、「愛の渦」の池松壮亮、「虎影」の斎藤工。監督は「太陽の坐る場所」の矢崎仁司。
  • 映画評論家

    上島春彦

    色んな意味でショッキングな性愛描写たっぷり。璃子ちゃんまで全裸になるのだからうれしい。これはゴダール風味のエロなのか。ただし乳首露出はない。もう片方の女の子は見せてるけど。要するに着たり脱いだりする映画、しかも七十年当時のスタイリングのセンスが皆はまっている。私の兄の世代の話だが、こういう造反有理の人達にはあこがれたものだった。それと茶室で逢い引きなんて川島雄三みたいでいいね。原作がそうなのかな。だがミステリーっぽい細部がぼやけて納得せず。

  • 映画評論家

    北川れい子

    時代はひと回りほど違うし、設定も異なるが、成海璃子が演じる仙台の名門女子高生に、「海を感じる時」の市川由衣と同じ自我を感じ、いささか居心地がワルくなった。私はみんなと違うのよ、という危なっかしいプライド。相手役が池松壮亮なのも同工異曲の印象を強くする。1970年代前後という時代の高揚感が、女子高生をちょっとニヒルな池松に向かわせるのだが、学園紛争や路上詩人、クラシック喫茶もただの光景、性愛に溺れた女子がいるだけ。斎藤工もヘンな役ばかりでご苦労様。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    成海璃子の表情がいい。あの時代に生きる不機嫌な少女の顔だ。「恋人たちの失われた革命」になるかと思ったが三角関係の描写は茶室などの室内になると濃密になるが外が弱い。役者も池松はどれも同じ芝居なので男側が弱くなる。露骨な胸隠しは、本作に限ったことではないが、本人・事務所・演出が互いにソッポを向いてそのまま撮ってしまったような違和感。見せないならそれで構わないが、それに沿った演出があるはず。最近は吹替えもダメなのだろうか? その分、遠藤新菜が出色。

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