ラ・ラ・ランドの映画専門家レビュー一覧

ラ・ラ・ランド

「セッション」のデイミアン・チャゼル監督によるオリジナルミュージカル。女優を目指すミアは、場末のバーでピアノを弾いていたセバスチャンと出会う。惹かれ合う二人だが、セバスチャンが加入したバンドの人気が出るとともに二人の関係に暗雲が立ち込める。主演のライアン・ゴズリングとエマ・ストーンは「ラブ・アゲイン」「L.A. ギャング ストーリー」に続き3度目の共演。第73回ヴェネチア国際映画祭でオープニング上映され、エマ・ストーンが女優賞を受賞した。また、「セッション」に続きジャスティン・フルビッツが音楽を担当している。
  • 批評家。音楽レーベルHEADZ主宰

    佐々木敦

    あまりの試写人気の過熱ぶりに正直引き気味で観たのだが、これを否定出来るほど私はヒネクレていない。始まって15秒で胸を鷲?みにされ、古典的かつ現代的なミュージカル映画としての佇まいに魅了され、主役二人の愛らしさに心躍らされる。そして驚くべきことに、この映画ではそれが最後まで持続するのである。ストーリーは観客の(よくない方向も含めた)予想を裏切ることはないし、特に斬新なことはひとつもやってない。にもかかわらず、この映画は奇跡と呼んでもいい輝きを放っている。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    デイミアン・チャゼルは導入が上手い。「セッション」の冒頭で教師と生徒はいきなり出会う。本作でもオープニングの高速道路の大渋滞から始まるカラフルなミュージカルシーンのつかみが圧倒的で、「ウイークエンド」以来ともいえる渋滞の名シーンになっている。本篇には当然ながらいろんなオマージュが捧げられているがドラマの構造は「シェルブールの雨傘」的。そしてエマ・ストーンの大きな目が語る正義は時に人を追いつめる。ゴズリングとの口論シーンでのエマの目はほとんどホラーだ。

  • TVプロデューサー

    山口剛

    冒頭の渋滞した高速道路上で行なわれる集団ダンス・シーンは振り付け撮影も見事で、モダーンなミュージカルの開始を思わせるが、一転して、黄金時代のハリウッド・ミュージカルや古いジャズへのノスタルジックな憧憬に満ちたボーイ・ミーツ・ガールのドラマへと展開していく。あらゆるシーンに映画と音楽への敬愛の念が込められている。ゴズリングとE・ストーンはほぼ完璧に役をこなしている。二人のダンス・シーンはアステア・ロジャースへの見事なオマージュになっていて陶然とする。

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