ラ・ラ・ランドの映画専門家レビュー一覧
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批評家。音楽レーベルHEADZ主宰
佐々木敦
あまりの試写人気の過熱ぶりに正直引き気味で観たのだが、これを否定出来るほど私はヒネクレていない。始まって15秒で胸を鷲?みにされ、古典的かつ現代的なミュージカル映画としての佇まいに魅了され、主役二人の愛らしさに心躍らされる。そして驚くべきことに、この映画ではそれが最後まで持続するのである。ストーリーは観客の(よくない方向も含めた)予想を裏切ることはないし、特に斬新なことはひとつもやってない。にもかかわらず、この映画は奇跡と呼んでもいい輝きを放っている。
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映画系文筆業
奈々村久生
デイミアン・チャゼルは導入が上手い。「セッション」の冒頭で教師と生徒はいきなり出会う。本作でもオープニングの高速道路の大渋滞から始まるカラフルなミュージカルシーンのつかみが圧倒的で、「ウイークエンド」以来ともいえる渋滞の名シーンになっている。本篇には当然ながらいろんなオマージュが捧げられているがドラマの構造は「シェルブールの雨傘」的。そしてエマ・ストーンの大きな目が語る正義は時に人を追いつめる。ゴズリングとの口論シーンでのエマの目はほとんどホラーだ。
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TVプロデューサー
山口剛
冒頭の渋滞した高速道路上で行なわれる集団ダンス・シーンは振り付け撮影も見事で、モダーンなミュージカルの開始を思わせるが、一転して、黄金時代のハリウッド・ミュージカルや古いジャズへのノスタルジックな憧憬に満ちたボーイ・ミーツ・ガールのドラマへと展開していく。あらゆるシーンに映画と音楽への敬愛の念が込められている。ゴズリングとE・ストーンはほぼ完璧に役をこなしている。二人のダンス・シーンはアステア・ロジャースへの見事なオマージュになっていて陶然とする。
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