夜に生きるの映画専門家レビュー一覧

夜に生きる

デニス・ルヘインの同名小説を、「アルゴ」のベン・アフレックが監督・脚本・主演を務め映画化。禁酒法時代のボストン。警察幹部の息子ジョーは、父への反発からギャングの世界に入りこんでいく。ある日、ボスの愛人エマと恋に落ち、ジョーの人生は激変する。出演は、「マレフィセント」のエル・ファニング、「ハリー・ポッター」シリーズのブレンダン・グリーソン、「アルゴ」のクリス・メッシーナ、「アメリカン・スナイパー」のシエナ・ミラー、「アバター」のゾーイ・サルダナ、「ザ・タウン」のクリス・クーパー。製作はレオナルド・ディカプリオが務めた。
  • 批評家。音楽レーベルHEADZ主宰

    佐々木敦

    ベン・アフレックの映画職人ぶりが遺憾なく発揮された佳作。一本筋の通ったギャングの一代記で、製作総指揮にも名を連ねるデニス・ルヘインの原作は渋めなのだが、監督アフレックはテンポの良さと演出のメリハリで見せ場の多い作品に仕上げている。主人公のライバル(?)となるエル・ファニングが印象的だが、彼女のルックスを逆手に取ったキャスティングの勝利だろう。だがこの映画を真に支えているのはファニングの父親を演じるクリス・クーパーをはじめとするオジサンの脇役陣だ。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    監督・脚本家としてのアフレックの手腕が冴え渡る。ギャング稼業の非情な世界を彩るアクション、1920~30年代のアメリカのクラシカルな色みや町並みの撮り方には品があり、痺れるほどかっこいい。特筆すべきは役者のアップの多用。顔面の力で活劇を見せられるのは、やはり俳優出身の監督ならではの実力か。聖女とも魔女ともつかないエル・ファニングの特異な芝居も必見だ。劇中でアフレックが発する「高くついた」というセリフに仕掛けられた伏線の重みといったら!

  • TVプロデューサー

    山口剛

    往年のアメリカ映画で、ポール・ムニ、E・G・ロビンソン、ハンフリー・ボガートたちが演じてきたギャング像を、ベン・アフレックは敬意を込めて演じている。ノワール映画のヒーローに宛てたラブレターのようで嬉しくなる。監督脚本主演作の連打でポスト・イーストウッドの地位を確実に手に収めたアフレックの今がまさに旬といった作品だ。シエナ・ミラーのファムファタールぶりも新鮮。原作は人気作家デニス・ルヘインが書き続けているボストンを舞台にした連作のひとつ。

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