タイガー・マウンテン 雪原の死闘の映画専門家レビュー一覧
タイガー・マウンテン 雪原の死闘
“香港のスピルバーグ”ツイ・ハークが、実話に基づく小説『林海雪原』を映画化したアクション・スペクタクル。国共内戦時代の中国東北部を舞台に、匪賊と戦う共産党軍の活躍を描く。出演は「戦場のレクイエム」のチャン・ハンユー。「エレクション」のレオン・カーフェイが共演。迫力のVFXを駆使したアクションが見もの。
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翻訳家
篠儀直子
スパイ映画量産(?)の波に乗るかのように、これまた一種のスパイ映画。チャン・ハンユー演じる実在のスパイが最高にかっこいい。京劇で知られる実話が基だが、なじみのない観客にはすっと入っていきづらいのと、ある程度のリアリズムが要求されるからここ最近のツイ・ハーク作品の魅力があらかじめ封じられてしまうのとが不安材料だったけど、相変わらずの抜群の画面構成力で魅せる魅せる。中盤の雪山での戦闘場面には西部劇的な「距離の美学」が貫かれ、理屈抜きに感動させられる。
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ライター
平田裕介
ベースとなっている実話も小説も、その京劇版も知らないが、そこはツイ・ハーク。そんな輩も満足できる血沸き肉踊る娯楽作に仕上げてくれている。3D(日本公開は2D)だからと血飛沫、爆炎、弾丸、ナイフと、飛び出せるものはなんでも噴出させる姿勢は素晴らしいし、いまごろ「マトリックス」でお馴染みのバレットタイム風ショットを繰り出すのもなんだか愛おしい。人民解放軍万歳なムードが横溢していて“赤み”が強いが、大中みたいな中華雑貨店を覗いていると思えばなんとかなる。
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TVプロデューサー
山口剛
久しぶりにツイ・ハークのアクション映画を堪能した。昨今、本土との微妙な関係を反映した香港映画が多いが、本作は中国映画で主役は人民解放軍の戦士たちだ。とは言え、政治臭の全くない冒険活劇で、近年ハリウッドで撮ったものより、彼の真骨頂が発揮されている。太平洋戦争直後の中国北東部、圧倒的優勢の匪賊を相手に全篇雪上で繰広げられる戦闘シーンの数々は壮観。「ナバロンの要塞」「荒鷲の要塞」などアリステア・マクリーンの初期の名作を原作とする名画を思い出す。
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