これが私の人生設計の映画専門家レビュー一覧

これが私の人生設計

イタリア映画祭2015で好評を博したコメディ。海外から故郷ローマに戻った建築家のセレーナは、男性社会のイタリアでは思ったような仕事ができずに四苦八苦。そんな時、公募されていた公営住宅の仕事に、男性を装って応募するが……。出演は「ジョルダーニ家の人々」のパオラ・コルテレージ、「エイリアンVS. プレデター」のラウル・ボヴァ。
  • 映画監督、映画評論

    筒井武文

    うんざりするくらい登場人物の経歴を説明しまくるので、映画の速度が観客の理解度より、はるかに遅れてしまう。それで、作中人物が全員ぼんくらに見えてしまう。コメディーだから、戯画化して描いたのだと言うのだろうが、真実を見る目をもった人物も必要ではないか。その役割をゲイの(先妻との)子どもに託したということか。監督の奥さんらしいヒロインをはじめ、俳優という俳優の魅力が、下手なカット割と相まって、引き出させれていない。偉大なイタリア喜劇の伝統はどこに。

  • 映画監督

    内藤誠

    日本のオリンピック競技場の設計では予算の都合とかで女性建築家がダメになったけれど、ローマでも女性建築家が優秀なのに男性社会の壁にぶち当たり、それを突破するために大騒動。ナンニ・モレッティの助監督を勤めたというミラーニ監督が巨大公営住宅コルヴィアーレに目をつけたのはさすがで、テンポのいいイタリア喜劇の伝統が流れている。主演の監督夫人パオラ・コルテッレージをはじめ、ゲイ役のラウル・ボヴァなど、街の不良少年にいたるまで配役がキメ細かいのに感心した。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    働くシングル女性が直面する社会の壁をコメディーとして描くという点ではそつなく処理されており、それなりに笑って楽しめるが、肝心の建築プロジェクトがいまいち曖昧で説得力に欠ける。どんなにスーパーエリートでも、それを生かす場や環境のない田舎では、いかに女性が生きづらいか。その状況が設定としては提示されるものの、生身の女性の問題としてはなかなか伝わってこず、ヒロインが故郷に戻る選択をした根拠もよくわからない。ゲイの男性の息子が誰よりも生々しかった。

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