ディーパンの闘いの映画専門家レビュー一覧

ディーパンの闘い

第68回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞の人間ドラマ。移民問題に揺れる欧州を背景に、内戦下のスリランカからフランスに入国するため、偽装家族となった元兵士と女と少女の物語。監督・脚本は、「預言者」のジャック・オディアール。出演は、「ルノワール 陽だまりの裸婦」のヴァンサン・ロティエ。
  • 映画監督、映画評論

    筒井武文

    パリ郊外の田園地帯に、こんな無法者が仕切る集合団地が存在するとは、にわかに信じ難いが、スリランカからの難民の偽装家族が管理人として放り込まれる、この空間は実に魅力的だ。そこで片言の仏語でコミュミケーションを取っていくディーパンの臭みのある翳りも。それは意味ありげに、スリランカの映像をフラッシュさせてくオディアール自体の作風の臭みでもあるのだが。とはいえ、偽妻が家政婦として通う認知症老人の部屋、そこに甥らしき麻薬密売人のいる危うい雰囲気が見事。

  • 映画監督

    内藤誠

    内戦下のスリランカから夫婦と娘という偽装家族を作って申請の許可をとり、フランスへ入国する一家の物語だが、居住したパリ郊外の集合団地がまた、麻薬密売人が巣食い、法治国家と思えないほどの荒廃ぶり。「シャルリ・エブド事件」のあったフランスだからつい移民難民問題を考えてしまう。俳優としてのキャリアのないアントニーターサン・ジェスターサンが主人公を演じてリアリティーを醸し出すが、全体の仕組みはフィクション。タミル語、仏語、英語の会話を日本語字幕で見るのだ。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    独立戦士だったディーパンと異国での新生活に馴染めないヤリニがぎくしゃくする中、救いになるのは「娘」のイラヤルだ。子供ならではの高い順応力で一家の通訳となり、彼女を学校に入れたりその送り迎えをしたりという日々の行動が、彼らを一つの家族のようにしていく。言葉が理解できても仲間との会話で笑えないと真顔で相談するディーパンに、あなたにはユーモアのセンスがないとヤリニがからかうシーンがいい。喜楽に乏しくいかついアントニーターサンの顔が可愛らしく見える。

1 - 3件表示/全3件