ヒマラヤ 地上8,000メートルの絆の映画専門家レビュー一覧

ヒマラヤ 地上8,000メートルの絆

山岳史上最も壮絶な挑戦を行った伝説の登山家と仲間たちの実話に基づくドラマ。登山家オム・ホンギルは、最愛の後輩がエベレスト下山中に遭難死したことを知る。誰もが遺体回収を諦めるなか、ホンギルは仲間たちと“ヒューマン遠征隊”を結成する。監督・脚本は、「パイレーツ」のイ・ソクフン。出演は、「国際市場で逢いましょう」のファン・ジョンミン、ドラマ『応答せよ1994』のチョンウ、「サスペクト 哀しき容疑者」のチョ・ソンハ、「王になった男」のキム・イングォン、「トガニ 幼き瞳の告発」のチョン・ユミ。
  • 映像演出、映画評論

    荻野洋一

    米映画「エベレスト 3D」、日本映画「エヴェレスト 神々の山嶺」と山岳映画の公開が続く中、次は韓国から。山男の友情に重心を置く熱血漢的な内容は、実話だけに文句のつけようがない。落命した仲間への鎮魂の念を、受け手は主人公たちと共有するだろう。しかし、映画という困難きわまりない剣が峰を本作が登り得ているかというと、疑問符が付く。ダイナミックかつスペクタクルだが喚起力に欠ける画面、類型に留まる人物像。悪い作品ではない。でも優等生の模範解答のようだ。

  • 脚本家

    北里宇一郎

    悲壮感丸出しの日本の「エヴェレスト」と違い、笑いの味付けがあるのが助かる。登頂のカタルシスがちゃんと描かれているのも救い。役者陣も緩急のツボを心得て好演。ただ、これも韓国らしい情の絡め方があって、そこに違和感が。遭難するのが分かりきっているのに救助に駆けつけたり、遺体捜索のために集団で決死の登攀をしたり。こういう事実があったのだろうが、もう少し冷静なというか客観の視点(記録映画の感覚)がほしくて。これじゃ体育会系根性さえあれば岩をも砕くだよな。

  • 映画ライター

    中西愛子

    伝説の登山家オム・ホンギルとその仲間たちの絆を壮大なスケールで描いた感動の実話。一番弟子といえる後輩ムテクとの友情がメインテーマかと思っていると、中盤意外な展開を迎える。後半は、無謀とさえ思える目的のエベレスト遠征が繰り広げられるのだが、その熱量が凄まじい。過酷な自然の中で友愛を育む西部劇のようでもあり、神(ホンギル)とすべての使徒たちとの絶対的な愛を謳う神話のようでもある。題材の大きさに劣らず山岳のロケが圧巻。エモーショナルな迫力に呑まれる。

1 - 3件表示/全3件