ガルム・ウォーズの映画専門家レビュー一覧
ガルム・ウォーズ
押井守監督がCGと実写の技術を融合させ、全編をカナダで撮り上げたSFファンタジー。ガルムと呼ばれる部族間の戦いが続く星を舞台に、3人の戦士が自らのルーツを探る旅に出る姿を追う。日本語版プロデューサーはスタジオジブリの鈴木敏夫。出演は、カナダ生まれの女優メラニー・サンピエール、「スタング」のランス・ヘンリクセン「白い沈黙」のケヴィン・デュランド。声の出演は『鋼の錬金術師』の朴璐美、「手裏剣戦隊ニンニンジャーVSトッキュウジャー THE MOVIE 忍者・イン・ワンダーランド」の壤晴彦、「攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain」の星野貴紀。制作は「百日紅 Miss HOKUSAI」のProduction I.G。2014年(第27回)東京国際映画祭で上映された「GARM WARS The Last Druid」の日本語版。
-
評論家
上野昻志
おそらく、押井守ファンなら何度も繰り返し見るだろうし、キャラや物語について、あたうる限りの意味づけを試みるだろう。というのも、まず冒頭の荒涼たる世界での戦闘シーンが、兵器の造形も含めて目を奪うし、クローンの女性飛行士カラも、そこそこ魅力的だからだ。物語は、起源を求めての旅というシンプルな枠に収まっているが、それだけに、さまざまな意味づけを誘うに違いない。だが、だからなおさら、これは本来の物語の序章に過ぎないのではないか、という思いを禁じ得ない。
-
映画評論家
上島春彦
何の情報もなく試写を見た私、これはダイジェスト版にも或いは大長篇の序章にも見え、しかし意図的にそうなったという感じでもないのが実にヘン。プレスを読むと鈴木敏夫が日本語版を頑張ってプロデュースしたのがこれ、とのこと。元のを見ていないのが残念だがともあれ余得ではあろう。重装備の兵士とモンスターマシン、森と預言者、といったある種のSFの定番が満載で押井ファンにはたまらないはずだが、私には結構ちんぷんかんぷんであったな。物語設定を先に読んでおきたい。
-
映画評論家
モルモット吉田
幻の超大作「ガルム戦記」に、これで日本製SF映画が変わると純情にも期待した身としては夢の形骸を眺める気分。デジタル技術がこれだけ進歩し、「アバター」の後では証文の出し遅れ感は否めず。アニメの様に実写が撮れるようになったはずが、まだ不自由さが残る時代に低予算で撮った「アヴァロン」の方が遥かに実写+VFXがもたらす自由を獲得していたように思えたが。本作が実現したことでオリジナル版のパイロット・フィルムが前売り券購入特典に付いてきたことが最大の喜び。
1 -
3件表示/全3件