死霊館 エンフィールド事件の映画専門家レビュー一覧

死霊館 エンフィールド事件

「ソウ」のジェームズ・ワン監督による、心霊研究家ウォーレン夫妻の体験を基にしたホラー第2弾。1977年に起きた史上最長のポルターガイスト現象とされる事件を取り上げる。正体不明の音や不可解な現象に苦しむ少女を救うため、夫妻は恐怖の元凶を追う。ウォーレン夫妻に扮する「マイレージ、マイライフ」のヴェラ・ファーミガと「インシディアス」シリーズのパトリック・ウィルソンをはじめ、オリジナルキャストやスタッフが再集結。怪現象に見舞われる少女を「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」の子役マディソン・ウルフが、少女の母親を「A.I.」のフランシス・オコナーが演じる。
  • 批評家。音楽レーベルHEADZ主宰

    佐々木敦

    前作は観ていないのだが、これはかなりの傑作だ。実話を元に云々はどうでもいいが、古典的なポルターガイスト映画のパターンをなぞりつつ、要所要所で現代ホラーらしいアイデアをかましてくれる。特に感心したのは「見える/見えない」の中間地帯を絶妙に用いたギミック。クライマックスのアレもそうだが、その前の、老人の霊に憑依された次女が水を含んで喋る場面のピンボケには思わず唸った。コワイという感覚の核心的な部分が、視覚性の限界とかかわっていることの鮮やかな証明。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    イギリスでは何百年も前に建てられた古い建築が今でも多く残っていて、現役の住居として活躍していることも少なくない。そこではその間に建物が経てきた時間や、過去に住んできた歴代の人々の歴史が刻まれていることが普通であり、今の住人はむしろ一番新顔のお客さん。ゆえに家についてくる「幽霊」に対する概念は日本のそれとは少し違うかもしれない。本作の舞台はロンドン北部エンフィールドにある家屋。そうしたイギリスの文化をふまえて観ると、ラストの一家の選択にも合点がいく。

  • TVプロデューサー

    山口剛

    霊の存在を頭から信じない者にとっては、ついて行きにくいかも知れないが、実話であると再三クレジットされている。ジェイムズ・ワン監督は、ホラー映画だが人間ドラマを描くなどという言辞を弄さず、ひたすら霊と人間の闘いを正面から描いており、それがこの作品の迫力となっている。第一作に比べ、霊魂や宗教に関する説明的冗漫さが無くなり、一層凝縮した内容だ。館の美術デザイン、音楽効果の巧みさが、どこか懐かしいこの古風でアナログタッチのホラーを盛り上げている。

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