TOMORROW パーマネントライフを探しての映画専門家レビュー一覧

TOMORROW パーマネントライフを探して

女優メラニー・ロランと活動家のシリル・ディオンが監督を務め、第41回セザール賞を獲得したドキュメンタリー。未来の子供たちのためにできることを探すメラニーは、農業・エネルギー・経済・民主主義・教育の分野で新たな取り組みを行う人々を訪ねていく。世界各地をめぐりながら、自然のままをモデルに持続可能な農業やシステム構築を目指すパーマカルチャーや、石油依存から脱却し地球温暖化を防ぐ地域作りをするトランジション・タウン、すべてのゴミのリサイクル活用を進めるゼロ・ウェイストプロジェクトなど、新たなライフスタイルを見つける手がかりを紹介する。
  • 映像演出、映画評論

    荻野洋一

    女優メラニー・ロランが、人類滅亡のシナリオに対し、「別の、人類が反省して生き長らえるシナリオはないものか?」と画策し始める。いまのライフスタイルを私たちが続け、気候変動と環境破壊が続いた場合、人類は近いうちに滅ぶ。子どもを持つ親として、彼女たちはいろいろと試みと相対する。その試みがどこか楽しげなのがいい。しかし、作品の作りを問いたい。プロパガンダをモーションCGによるタイポグラフィで観客に突きつけていくという作為性は、作品の思想に合わない。

  • 脚本家

    北里宇一郎

    このままだと地球は絶滅。ならば、どうすれば? というエコロジストたちの提案と実践が、次から次へと繰り広げられて。ちと目まぐるしい。少し立ち止まって考えてみたいと思う。けど、映画の時間はどんどん進む。ただし取りあげられている素材は面白いし重い。環境問題だけでなく、経済、教育、政治の新しい取り組みには、なるほどと納得させられるものが。それを大マジメではなく、グラフィック感覚のオシャレな映像と音楽で展開し。その口当たりのよさ、調子のよさが痛しかゆしの面も。

  • 映画ライター

    中西愛子

    食にしろ、子育てにしろ、エコにしろ、ライフスタイルにまつわるドキュメンタリーは、国内外で増えている。でも、この作品の魅力は、生活に密着したスタンスを保ちつつ、徹底した俯瞰の目で世界を見つめ、これからの個人の在り方が模索されていること。農業→エネルギー→経済→民主主義→教育、という必然的に推移し循環する章立てがいい。自分には無理、と思う提案も多いのだが、こうした欧米市民の発想や行動は、案外、日本でもすぐに普通になるかも。とても刺激的で面白い。

1 - 3件表示/全3件