14の夜の映画専門家レビュー一覧

14の夜

「百円の恋」の脚本家・足立紳の監督デビュー作。1987年の田舎町。悶々とした日々を送る中学生のタカシは、隣に住む幼馴染みで巨乳のメグミのことが気になっている。そんななか、町のレンタルビデオ屋でAV女優がサイン会を開催するという噂が聞こえてきて……。出演は、新人の犬飼直紀、「団地」の濱田マリ、「二重生活」の門脇麦、「起終点駅 ターミナル」の和田正人、女性アイドルグループSUPER☆GiRLSの浅川梨奈、「俺物語!!」の健太郎、「お盆の弟」の光石研。音楽を「百円の恋」の海田庄吾、撮影を「お盆の弟」の猪本雅三が担当する。第29回東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ」部門公式出品作品。
  • 評論家

    上野昻志

    そうか、これは1987年の話だったのだと改めて思ったのは、田舎町のビデオ屋に並んでいるのが、DVDでなく、ビデオテープだったからだ。その厚いパッケージが、中学生のガキどもの妄想を掻き立てるのに効いている。彼ら四人組が、廃車置き場でだらだらしている場面などは、もうひとつ工夫がないという感じがするが、夜になってからは、面白くなる。一番ひ弱そうなガキが、いきなり主人公にパンチを食らわすところとか、暴走族とのやりとりとか、なかなかいい線いっているのである。

  • 映画評論家

    上島春彦

    カッコ悪いことへの思い入れが強すぎて、妙に重い映画になった。廃車置き場シーンとか長い。師匠相米へのオマージュなのか。脚本家が監督も兼ねると、全部きちんと描きたくてこうなる。それでいて重要な場面が「決まって」ない。浅川梨奈が、営業上おっぱいをもませるわけにいかなかったのか、と勘ぐってしまう。良かったのは問題の夜、格下のつもりだったミツルに主人公が殴られる場面展開。ここが見事だったので推薦できる。全体に撮影が上首尾で、ラストの泣き笑いにぐっときた。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    誰とでも繋がって欲望の直取り引きが出来てしまう今と違い、30年前の中学生は初心だった。童貞中学生のエロ衝動に映画の可能性を求めた意欲作かつ、迂回作戦を取りつつ、ちゃんと中学生にある行為をさせているのが立派。ただ、初監督作ということもあってか、全体に力が入りすぎ、各シーンを最初から最後まで見せようとするので間延び気味。この話で2時間弱は長く、そのせいで会話の妙や脇の挿話も埋もれ気味なのが惜しい。今しなくていい行動を取り続ける父役の光石研が出色。

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