フラワーショウ!の映画専門家レビュー一覧
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翻訳家
篠儀直子
個性豊かな面々がチームを組んで数々の難関を乗り越える、ハワード・ホークス映画みたいな展開を想像していたのだが、そうではないとわかったのは、ヒロインが植物学者を説得するシークエンスがいっこうに終わりそうにないと気づいたとき。自然と人間との関わりを問うことこそが、この映画のテーマなのだった。でも映画自体よりも、弁護士が本業でビル・クリントンの選挙戦のリーダーのひとりだったという、監督の経歴のほうによほど驚いてしまった。むしろそっちの映画化が観たい。
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映画監督
内藤誠
シンメトリーの美しさできこえるフランス庭園でさえ、最近では雑草の生える「野生」が、シックで洗練された都会の庭のキーワードだが、実在の女性園芸家メアリー・レイノルズは自然保護のためにサンザシと雑草だけでショー・ガーデンの世界に挑む。テーマの明快な映画で、彼女は砂漠を緑地化したいと願う恋人を追いかけてエチオピアにも行く。実話にしてはできすぎた物語構成だけれど、植物が美しく、背景も雄大だから、「ヴェルサイユの宮廷庭師」に続き、ガーデン愛好者にはお薦め。
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ライター
平田裕介
英王立園芸協会が主催するガーデニング大会で、アイルランド人が初めて金賞ゲット。両国の歴史や関係を鑑みると快挙だと思うのだが、そうした面には重きを置かない、あくまでヒロインの成長を追った作りに。だが、この彼女がナチュラル・ボーンな天才ガーデニストとして描かれるわりには、致死量ではってくらいの量の塩素を噴霧器で撒き散らしたり、肝心要の野草を枯らしたりと首をかしげたくなるトンマぶりを発揮。まぁ、それが物語の盛り上げにきちんと機能しているからいいのだが。
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