大怪獣モノの映画専門家レビュー一覧

大怪獣モノ

映画初主演のプロレスラー・飯伏幸太が大怪獣とバトルを繰り広げる、「アウターマン」の河崎実監督の特撮映画。東京に現れた大怪獣モノを倒すため、西郷博士は助手の新田に万能細胞を投与し巨大化させる。新田はモノを倒すが、謎の女が彼に近づく。出演は、プロレスラーの鈴木みのる、『獣電戦隊キョウリュウジャー』の斉藤秀翼、「ウルトラマンサーガ」の真夏竜、モデルの河西美希、「インモラル 凍える死体」の赤井沙希。
  • 評論家

    上野昻志

    おバカ映画である。だが、これがいいのは、おバカ映画であることを十分に自覚して、それに徹しようとした作り手の心意気が全篇に漲っていることだ。STAP細胞ならぬセタップ細胞といい、地底から現れた大怪獣といい、それを「あの子」と呼ぶ環境団体といい、わずか数名しかいない自衛隊といい、予算の関係もあろうが、見るからにチャチな道具立てを臆面もなく繰り出して、一篇の映画を作ってしまう、その心意気。おまけに、なぜか毒蝮三太夫までが登場してきては、笑うしかない。

  • 映画評論家

    上島春彦

    この手の怪獣物は褒めるのも妙だがけなすのも妙。優れているのはつじつま合わせの三人一役コンセプトであり、プロレス好きなら楽しめること疑いなし。怪獣が、奪われた子どもを追って人間界に現れるという定番パターンも、ラストのひねりが効いていて上首尾である。ただ不思議なことに脚本はきっと笑えたのだろうが、画面はそれほど面白くない。特筆すべきはチープなりに本格的な大自然ミニチュア特撮で、スタッフに優秀な人材を集めたのだろう。私も毒蝮には最大級の感謝を捧げたい。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    他の大手映画会社が台風を過ぎ去るのを待つ中、「シン・ゴジラ」に便乗して企画をでっち上げる映画屋的な心意気は買い。とは言え、いつもの河崎実映画なのでお好きな方はどうぞという感じだが特撮には筋金入りの監督なので軽薄なパロディにはなっていない。殊にプロレスラーの飯伏を起用したことでモーションキャプチャーを嘲笑うかのようなリアル怪獣プロレスを実現させ、肉体と映画の厚みが独自の魅力に。特別出演の顔出しが多すぎて、その度に展開が停滞してしまうのが惜しい。

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