トリプル9 裏切りのコードの映画専門家レビュー一覧

トリプル9 裏切りのコード

「欲望のバージニア」のジョン・ヒルコートが、ケイシー・アフレック、キウェテル・イジョフォーら豪華キャストと組んだ犯罪アクション。警官が撃たれたことを意味する緊急コード“トリプルナイン”を利用した強盗計画が、予想外の事態に発展する。共演は「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」のアンソニー・マッキー、「スティーブ・ジョブズ」(15)のケイト・ウィンスレット、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」のガル・ガドット。
  • 映像演出、映画評論

    荻野洋一

    腐敗警官たちがなんと覆面強盗との二足のわらじを履きつつ、警察組織とロシア系マフィアの間で危ない橋を渡ろうとしている。強引な作戦、ボロ布のような人命。きわめて非情なる犯罪活劇で、しかもLAやNYといった馴染みのロケ地ではなく、南部アトランタの不規則な街景によって、ますます油断ならぬ恐怖の空間が現出された。演出、撮影、編集に無駄がなく、地味ながらもアメリカ映画の醍醐味が充満する。問題の焦点たる重要機密ファイルが何なのか結局わからなくても楽しめる。

  • 脚本家

    北里宇一郎

    5人組強盗集団の銀行襲撃がきびきびしたタッチで描かれて、久しぶりにイケるノアール物かと思わせるが。本筋に入ってロシアン・マフィアだの警察の動きなどが絡んで、登場人物も増加。それにつれて脚本・演出ともに焦点がふらふら。ま、群像劇をネラッているのは分かるけど、人物描写の濃淡があいまいなので観てるこちら側は誰に肩入れしていいのか分からず腰が落ち着かない。ちとタランティーノの悪影響の感も。ただ、スーパーヒーロー全盛の米映画の中ではわりと楽しめたほうで。

  • 映画ライター

    中西愛子

    アトランタが舞台のクライム・アクション。ロシアン・マフィアに絡む5人のギャングの犯罪と、彼らに翻弄される刑事たちの捜査と混乱を描く。リアリズムを優先したような演出は荒々しくも手堅いが、複数の人物が錯綜する物語を引っ張るにはやや不親切な気も。そこが魅力と言えば魅力だが。だからこそ、より重要になってくるのが俳優陣の個性。実力派の渋いスターが並んでいて結構贅沢だ。ウディ・ハレルソンの存在感。最初誰かわからないケイト・ウィンスレットもインパクト大。

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