ルイの9番目の人生の映画専門家レビュー一覧

ルイの9番目の人生

イギリス人作家リズ・ジェンセンによる同名小説を映画化。9年間で9度死にかけた少年ルイは、9歳の誕生日に海辺の崖から転落、奇跡的に助かるも昏睡状態に。担当医パスカルがあらゆる手を尽くす中、ルイの身近な人々や関係者に次々と不可解な出来事が降りかかる。出演は「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」のジェイミー・ドーナン、「ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出」のサラ・ガドン、「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」のアーロン・ポール、TV『X-ファイル 2016』のエイダン・ロングワース。2008年に他界した「イングリッシュ・ペイシェント」の監督アンソニー・ミンゲラが生前に映画化を熱望していた企画を、息子マックス・ミンゲラがプロデューサー兼脚本家として実現。メガホンをとるのは「ホーンズ 容疑者と告白の角」のアレクサンドル・アジャ。
  • 批評家。音楽レーベルHEADZ主宰

    佐々木敦

    かなり変な映画だ。予備知識なしで観始めたら、どういうジャンルの作品なのか、段々わからなくなっていった。あからさまにミステリアスな展開だが、語りのタッチがニューロティックとファンタジックの二重になっていて、シリアスな心理劇のようだと思ったら、急に「怪物はささやく」みたいになったりもする。サラ・ガドンが出てるからということもあるが、クローネンバーグ的な雰囲気も。原作のせいもあるのだろうが、どうも混乱してるように見える。だが、この混乱は嫌いではない。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    アジャにしては出血少なめ。その代わりにファンタジー色を強めにしていることで、ジャンルをまたぐ作りになっているが、それが吉と出ているか否かは微妙。オチがしっかりしているだけに、そこにたどり着くための表現として、物語と手法が弱く感じる。論理的に破綻している気もするが、自分の理解力不足なのかどうかもよくわからない。ただ、サラ・ガドンはとにかく綺麗。ゆえに人間はいかにビジュアル的な要素に左右されている生き物なのか、肌で痛感させる説得力が半端じゃない。

  • TVプロデューサー

    山口剛

    ミステリーとファンタジーの融合を狙ったのだろうが、その意図は裏目に出たようだ。ミステリーの論理を積み重ねた緊迫感もファンタジーの奔放なイマジネーションも共に希薄だ。以下ややネタバレになるが、ファム・ファタール(?)が魅力に欠けるのでミステリアスな雰囲気が伝わってこない。台詞の説明が多く映像的な面白さが少ないのも残念だ。あの海藻男は一体なんだったのだろう? 九回も死の危機に瀕し今も昏睡状態の少年をめぐるストーリーなので後味がよくない。

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