TAP THE LAST SHOWの映画専門家レビュー一覧
TAP THE LAST SHOW
俳優・水谷豊が40年越しの構想を実現させ、タップダンスを題材にショービジネスの光と影を映したドラマ。事故でダンサー生命を絶たれ、今や酒浸りになった渡。旧知の劇場最後の作品の演出を引き受け若手と交流するうちに、彼の止まっていた時が動き始める。水谷豊は初めて監督に挑み、主演も兼ねる。「僕は友達が少ない」の北乃きい、「団地」の岸部一徳らが共演するほか、オーディションで選ばれたダンサーたちが一堂に会する。「座頭市」(2003)や「TAKESHIS'」のダンスシーンを手がけたHIDEBOHがタップダンス振付・監修を担当。
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評論家
上野昻志
水谷豊が杖を突きながら歩く姿は決まっているし、彼にラストショウを打ち上げさせようとする岸部一徳や六平直政の佇まいも心得たもの。それより出番の少ない夏木萌の事務員が意外に(失礼!)印象に残るが、やはり、なんといっても、最後のタップダンスの競演が圧巻。当然ながら、中心の五人はもとより、全員がタップ・ダンサーだからだろうが、構成の工夫と多人数で見せるところが日本的というべきか。フレッド・アステアのような天才は望むべくもないから、これはこれで良いのだが。
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映画評論家
上島春彦
評価はドラマ部分に対して。クライマックス、30分近く続くショー場面は至上の五つ星としたい。そこまで耐えて劇場で見てね。それにしても各ダンサーの挿話全て、物語として破綻している。クレジットされた脚本家が本当に書いたのか疑問である。踊りは古典から和テイスト、フラメンコ、ストリップ風、と切れ目なく続き圧巻。こういう感じで一時間見せても良かった。島田歌穂の使い方ももったいないし、そのかつての相棒(?)ももっとやりようがあっただろう。正直口惜しい出来上がり。
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映画評論家
モルモット吉田
水谷が監督主演という保険があるので、若手ダンサーを実力重視で揃えているだけあってダンスシーンは圧巻。かつて水谷が市川崑へ企画を持ち込んだ時は、自閉した主人公がタップを踊る時だけは輝いているという話だったと記憶するが、その設定はJUN役に継承されているようだ。自身で演じるつもりだっただけに不機嫌な指導者役がハマっている。水谷の静と踊りの動だけで充分持つ話だけに、相棒・岸部の病状や各ダンサーの家庭環境まで手を広げたせいで大味になるのが惜しまれる。
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