闇金ウシジマくん Part3の映画専門家レビュー一覧

闇金ウシジマくん Part3

真鍋昌平のコミックを原作に、違法な高金利で金を貸す金融屋ウシジマの周りで巻き起こる金と欲望に翻弄された人間模様を描く人気シリーズの劇場版第3弾。派遣社員の真司は、ネット長者のセミナーに出席したことから、億単位のマネーゲームに巻き込まれる。主人公ウシジマを演じるのは「テラフォーマーズ」の山田孝之。乃木坂46の白石麻衣(『初森ベマーズ』)、「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」の本郷奏多、お笑い芸人“オリエンタルラジオ”の藤森慎吾(「津軽百年食堂」)ら、多彩なキャストが脇を固める。メガホンを取るのは、シリーズでプロデュースと監督を兼任してきた山口雅俊。
  • 映画評論家

    北川れい子

    金に踊って踊らされ……。「ウシジマくん」シリーズの面白さは、現実を映し鏡にした金を巡る人間模様で、キレイごとは一切なし、何より闇金“カウカウファイナンス”の社長ウシジマのブレない姿勢が小気味いい。演じる山田孝之の個々の事情などまったく関知しないビジネスライクな冷酷ぶり。闇金に駆け込んでくる人たちが、欲に舞い上がって足元を見ない人ばかりで、そのツケで大怪我をするのも、反面教師的で納得できる。最後の最後に仕掛けるウシジマの大岡裁き(!?)は今回もスカッ。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    惜しい出来、とでも言うべきか。もっと面白くなるはずなのにちょっと芯をハズしているような。それはおそらく映画「怒り」に続いて、水澤紳吾は素晴らしかった、と再び書きたくなることとも関係ある。更に言えば本作は脇役であればあるほどそいつに場をさらう存在感があり、逆に中心的な人物には観る甲斐がないということになっている。端役のほうこそが描こうとする世界にシンクロし、それが出来ない製作側は無意識的な存在である俳優らに救われている。すぐに続く次作に期待……。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    マネーゲームにおいて人は「自分だけは損しない」と信じて疑わないもの。このシリーズでは、金に人生を左右される多様な人々を描いているが、観ている側もどこか他人事で「自分だけはそうならない」と信じて疑わない。現実世界でも本作と同様に、検索サイトの隅で大金獲得を謳う怪しげな広告が人々の欲望を誘惑しているというのに。この第3作では高額アフィリエイトを題材にデフレやインフレの仕組みを学べるだけでなく、金を稼ぐことのあり方に対する是非を再確認させるのも一興。

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