ポエトリーエンジェルの映画専門家レビュー一覧
ポエトリーエンジェル
「僕らのごはんは明日で待ってる」の岡山天音と「ハロウィンナイトメア2」の武田玲奈がW主演する青春ドラマ。実家の梅農家を手伝う玉置は、ふとしたきっかけで詩のボクシング教室に通い出す。そこに新たに加わった女子高校生・杏は、ある悩みを抱えていた。監督・脚本・編集は、「チキンズダイナマイト」の飯塚俊光。出演は、「シン・ゴジラ」の鶴見辰吾、「モヒカン故郷に帰る」の美保純、「オー・マイ・ゼット!」の角田晃広、「なりゆきな魂、」の山田真歩、「いたくても いたくても」の芹澤興人、「龍三と七人の子分たち」の下條アトム。和歌山県田辺市で毎年開催されている「田辺・弁慶映画祭」の第10回記念映画プロジェクトとして制作された。
-
評論家
上野昻志
視野が、半径3メートルぐらいに限られた若者の恋愛映画が多い中で、これは出色の青春映画。まずは田辺の田園地帯という舞台に、詩のボクシングを主軸に立てたこと。そこに梅農家の頑固な父親に命じられる草刈りにウンザリしている青年が、偶然関わるようになる一方、教室で友達に話しかけられると睨むような眼差しで拒絶するボクシング・ジムに通う少女を配したこと。この岡山天音と竹田玲奈をはじめキャストの配分も成功しているが、時折挟まれる後姿のショットが印象に残る。
-
映画評論家
上島春彦
噂には聞いたことがあるが「詩のボクシング」を初めて見た。訓練方法も面白いし、強化試合は輪をかけてヘン。題材の設定だけで見る価値はある。女子高生側も市民連合側も朗読バトルに関しては真剣勝負でやっている。たどたどしい感じもあるが皆さん、自分の言葉をまき散らして場を盛り上げる。一応コンセプトはニート青年の人生再スタートを詩の完成とシンクロさせる、というもの。ただし彼の詩は物語の中核を担い過ぎかえって途中で飽きる。もっといっぱい色々な詩を聞きたかった。
-
映画評論家
モルモット吉田
詩のボクシングはいつか映画化されると思っていたが最大公約数の観客に向けた作りなのは記念映画という事情か。今の映画に相応しくやたらと不幸が盛り込まれるが、肝心の声とパフォーマンスで言葉を表現にする手段を手に入れる喜びは薄い。ロードサイドのラップ映画や、詩人監督、詩の映画化も珍しくない時代に、言葉と声の格闘技を映画で描くには淡白気味。ヒロインのボクシングの挫折と吃音も一方だけで良かったのでは? クライマックスで客席や舞台袖の反応を拾わないのも不満。
1 -
3件表示/全3件