暗黒女子の映画専門家レビュー一覧

暗黒女子

秋吉理香子の同名ミステリーを、清水富美加と飯豊まりえのW主演で映画化。セレブ女子高生たちが通う高校で、全校生徒の憧れの的だったいつみが屋上から転落死する。いつみの親友・小百合はいつみが主宰していた文学サークルを引き継ぎ、真相を探ろうとする。監督は、「MARS ただ、君を愛してる」の耶雲哉治。出演は、「HK 変態仮面」シリーズの清水富美加、「MARS ただ、君を愛してる」の飯豊まりえ、「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」の清野菜名、「オオカミ少女と黒王子」の玉城ティナ、「人狼ゲーム プリズン・ブレイク」の小島梨里杏、「青空エール」の平祐奈、「黒崎くんの言いなりになんてならない」の千葉雄大。
  • 映画評論家

    北川れい子

    「愚行録」を連想させる“イヤミス”映画だが、死んだ少女を巡る5人の少女たちのキャラクターのアザとさは、いくらタイトルに“暗黒”とあっても笑っちゃうほどで、次々とタネ明かしされる幼稚で邪悪な脅し合戦は、陰湿なゲームのよう。女子高文学サークルのそれなりの美少女たちも、裕福な読書家の書斎を思わせる部室も、いわばビジュアル的な虚仮威し、正体暴露のための仕掛けっていうのだから空しい。千葉雄大扮するトンデモ教師がマセた高校生にしか見えないのもドッと疲れる。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    清水富美加というまだ上り坂にある女優・タレントが新興宗教に出家するために引退するなかで、こんな厭な仕事をさせられたという例に挙げた映画だと思うが、これは面白くなくもないクラシカルな構成のミステリー。だが宗教に負けたか。ある意味、映画こそ最高の新興宗教で、関わる者を現世の生を超えた存在にもしうるがそこまでの企画はなかなかないか。大筋に関係なく私が苛立ったのは文学をサロン的なものにしてること。登場人物が悲惨なことになるのはその愚行の報いと解した。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    本来であれば映画本篇の評価に対して、作品の周辺にまつわる醜聞の類いは考慮すべきものではない。しかし、現実の女子の〈暗黒〉面がフィクションを凌駕しているため、2017年という同時代に本作を観る上では残念ながら避け難いのである。また本来であれば、惹句〈驚愕のラスト24分〉は驚くべきものだったに違いないが、パブリックイメージとは異なる現実の女子の〈暗黒〉面が脳裏を過り、物語を先読みしてしまうのも痛恨の極み。あらゆる意味で“今観るべき映画”だとも言える。

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