氷菓の映画専門家レビュー一覧
氷菓
累計220万部を越す米澤穂信の人気ミステリー『古典部』シリーズ第1作を実写映画化。姉の命令で古典部に入部した神山高校一年生の折木奉太郎は、そこで千反田えると出会う。好奇心の塊のようなえるに巻き込まれながら、奉太郎は校内の謎に挑んでいく。出演は「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」の山崎賢人、『探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海』の広瀬アリス。監督は「バイロケーション」の安里麻里。
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評論家
上野昻志
教室の鍵についての他愛ない推理から始まり、先輩たちが作った文集を探し出し、そこから、1967年の学園祭の謎に行き当たるあたりまでは、その先どう話が転んでいくのかと、期待をこめて(?!)見ていたのだが……行き着いた先は、なに、たかが高校を退学になったぐらいで、その後の人生は、生きながら死んでいるようなもの、だって? アホか。そんな奴、さっさと死んじまえよ。当時の高校生も、ナメられたものだ。なにがアイ・スクリームだ。ま、原作の問題でもあるけどね。
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映画評論家
上島春彦
いわゆる「日常のミステリー」と呼ばれる小ネタの部分は快調。キャラクターも配役も抜群に良く、滑り出しは楽しかったがメインの謎が全然ダメ。私の世代でも高校生全共闘は既に全滅状態だったが、それなりの気配は覚えている。つまらんネタにされて彼らも気分悪いだろう。もっと書誌学的傾向を強調してもう一本作ってもらいたい。子供だましが過ぎるよ。昭和アイドル歌謡のファンは榊原郁恵ちゃんの名曲のフレーズを思い出してニコニコしてしまうだろうが、それだけじゃ星は伸びず。
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映画評論家
吉田伊知郎
同じ安里・月永の監督・撮影コンビなら「罪の天使たち」ばりにゴシックな世界観を作り上げた「劇場版 零 ゼロ」が好みだが、本作は一見すると柔らかいトーンながら、60年代の学生運動の回想まで取り入れるなど撮影の趣向に目が行く。参照する紙資料が少ない上にネットにも頼らず付け焼き刃の知識と直感で推理するのが気になるが、図表にまとめながら読み解く作りはジュブナイル的な高揚感あり。自主映画の廃墟殺人シーンが絡んでくる続篇『愚者のエンドロール』の映画化を希望。
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