打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(2017)の映画専門家レビュー一覧

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(2017)

1995年に劇場公開された岩井俊二監督の伝説的ドラマを、大根仁が現代的な要素を加え新たに長編脚本化、『魔法少女まどか☆マギカ』の新房昭之が総監督を務めるアニメーション。夏休みを過ごす3人の男女中学生たちが経験する、何度も繰り返されるある1日を綴る。声の出演は「チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話」の広瀬すず、「帝一の國」の菅田将暉、「亜人」シリーズの宮野真守。音楽を「傷物語」シリーズの神前暁が担当する。
  • 評論家

    上野昻志

    試写が最初の予定より遅れたのは、出来上がるまで、ずいぶん時間がかかったせいなのか? そのぶん丁寧に作ったということなんだろうな。水際を走っているように見える電車の遠景なんか綺麗だし。だけど、見ていて、いまいち弾まない。時間が巻き戻され、あの時をもう一度やり直す、という仕掛けが、話としてはわかるけれど、そこに見る者を巻き込むようなダイナミズムが感じられないのだ。まあ、感じるという人はいるだろうし、それはそれで結構なことだが、当方には響かなかった。

  • 映画評論家

    上島春彦

    オタク系妄想全開で「キミ膵」よりガンガン攻めてます。壁ドンはないが床ドンあり。様々な映像技巧に驚愕し、岩井俊二版のささやかな「もしも」とは別物と覚る。最初露骨に感じたデジタル効果が、「もしも」が重層化される後半に向けてぴたっとはまっていく作りもいい。特に花火の形で主人公がはっとするあたり。オリジナルを脚本家が越えようとしたのがこの細部だ。オレならこうやる、と大根はずっと考えていたのだろう。聖子ちゃんのロマンチックなプロモーションV風場面も眼福。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    オリジナルはわが邦画オールタイムベスト級だけにリメイクなんてと思ったが、アニメ化&大根仁が脚本&中学生へ設定変更に納得。前半は台詞も含め実写版をほぼそのまま踏襲し、後半の独自展開で差異を見せる。だが、変化が少ない前半は岩井俊二の神がかった演出との落差を露骨に感じてしまい、後半は実写版をきちんと踏まえて広げた大根の二次創作ぶりを楽しむが、もしも玉という何でもありの便利な道具の活用法に疑問。岩井の流れを汲む作り手がアニメも手がけるべきだったのでは。

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