メアリと魔女の花の映画専門家レビュー一覧
メアリと魔女の花
メアリー・スチュアートの児童文学を原作に「思い出のマーニー」の米林宏昌監督がアニメ映画化。7年に1度しか咲かない禁断の花“夜間飛行”を見つけた少女メアリ。一夜限りの不思議な力を手に入れた彼女は、雲海にそびえ立つエンドア大学への入学を許可される。声の出演は「無限の住人」の杉咲花、「恋妻家宮本」の天海祐希、「サバイバルファミリー」の小日向文世、「愚行録」の満島ひかり、「RANMARU 神の舌を持つ男」の佐藤二朗、「うさぎ追いし 山極勝三郎物語」の遠藤憲一、「お父さんと伊藤さん」の渡辺えり、「後妻業の女」の大竹しのぶ。脚本を米林宏昌と「かぐや姫の物語」の坂口理子が手がけ、音楽を「思い出のマーニー」からの再タッグとなる村松崇継が担当する。「かぐや姫の物語」「思い出のマーニー」のプロデューサー西村義明が立ち上げたアニメーションスタジオ『スタジオポノック』第一回長編作品。
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映画評論家
北川れい子
精緻な背景美術も、カラフルな色彩(ちょっと原色が多い?)も、キャラクターの造型もジブリ色が濃厚で、そういう意味ではスーッと入っていける。が、原作がそうなのか、脚本のせいなのか、場面、場面の面白さはあっても物語方向との重心が曖昧で、何やら長い長い予告篇でも観ているよう。少女メアリの“俄か魔女”ごっこも、サービス・シーン的で、どうもゆるすぎる。魔女の花、魔法の大学、呪文等も、かつて観たことがあるような。魔女や魔法の呪縛から飛び出して下さい米林監督。
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映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
技法やスタッフワークについては本誌前号の特集を読んでいろいろ知り、感嘆。記事を読まない時点で私が素朴に感じたのは、近年の新しいアニメに対して画の情報量の凄さや細密さに驚かされつつ同時に無機質さや冷たさの印象を受けることが多かったのに(「君の名は。」「ひるね姫」)、本作はそうではないということ。漫画の丸みや手描きの風景画の感じで。また、本作の主題のひとつは2011年以降この国で浮上した技術盲信への疑義に見えた。好ましい作品。わが子に見せたいかも。
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映画評論家
松崎健夫
誰もが思うことだろう「ジブリのようだが、確かにジブリではない」と。本作の評価は「ジブリ作品との比較から逃れられない」ことが大前提という厳しい立場にある。本来であれば個々の作品を独立して評価すべきだが、この映画には、黒猫・あぜ道・森林・雲上の建築物等々ジブリ作品を想起させる描写があまりにも多い。映画冒頭に登場する蝶はメタモルフォーゼを暗喩しているようだし、「この世界には人間に制御出来ない力がある」と描くことで現代的なメッセージも読み取れるのだが。
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