パトリオット・デイの映画専門家レビュー一覧
パトリオット・デイ
「ローン・サバイバー」でタッグを組んだマーク・ウォールバーグ&ピーター・バーグ監督による、2013年に起きたボストンマラソン大会テロ事件をベースにした実録ドラマ。50万人の観衆で賑わうなか実行された爆弾テロ。犯人逮捕までの緊迫の102時間を映し出す。共演は「COP CAR コップ・カー」のケヴィン・ベーコン、「10 クローバーフィールド・レーン」のジョン・グッドマン、「セッション」のJ・K・シモンズ、「ピクセル」のミシェル・モナハン。脚本はピーター・バーグと「トリプル9 裏切りのコード」のマット・クック、「ロボコップ(2014)」のジョシュア・ゼトゥマー。
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批評家。音楽レーベルHEADZ主宰
佐々木敦
ドキュメンタリー・タッチを随所に効果的に挿入するピーター・バーグ監督の演出スタイルには好感が持てる。実際の事件を描いているので展開も結末も予め知っているわけだが、それでも終始面白く見れたのだから、かなりよく出来ていると言ってよいだろう。派手さに偏らない見せ場の連続も渋い。難を言えばドラマとしての大きなうねりのようなものが最後に残ったらもっと良かったのだが。しかしボストン警察の刑事を演じる主演マーク・ウォールバーグの過去を知って思わず失笑した。
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映画系文筆業
奈々村久生
ボストン警察の英雄譚というゴリ押しのお題目がすべて。アクションがメインなのに妙にウェットなテイストをかぶせてくるのでマーク・ウォールバーグの筋肉バカ的な単純さのよさが生かされていない。フィンチャー作品でお馴染みのトレント・レズナー&アッティカス・ロスによる音楽はその存在感の強さにもかかわらずほぼ全篇にわたって鳴り続けているため強力なドラッグの効き目も麻痺したような感覚に陥る。フィンチャーのときはあんなにかっこいいのだけれど。
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TVプロデューサー
山口剛
再現されたテロ現場の惨状は息を呑む。M・ウォールバーグはボストン生まれの一刑事として事件の処理に当たるが、ヒロイックな活躍をするわけではなく、あくまで公僕の一人だ。テロリスト側も巨悪ではなくボストンに住む普通の移民として描かれている。それでいて、緊張感あふれたドキュメンタリー・タッチのサスペンスになっているのは監督ピーター・バーグの手腕だ。真の主役はボストンの街だ。87分署の刑事に託してアイソラという架空の街を描いたエド・マクベインのように。
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