Viva!公務員の映画専門家レビュー一覧
Viva!公務員
イタリアで自国作品の興行収入歴代1位を記録したコメディー。ケッコが子どもの頃から夢だった公務員の職に就いて15年。人員削減という衝撃的な政府の方針が発表される。リストラ担当者から退職を勧告されたケッコは断固拒否するが、僻地への転勤が決まり……。主人公ケッコを演じるケッコ・ザローネはイタリアの喜劇俳優。本名のルカ・メディチ名義で原案・脚本・音楽も手がける。共演は「孤独な天使たち」のソニア・ベルガマスコ、『ホテル・ワルツ』のマウリツィオ・ミケーリ、「ペッピーノの百歩」のニンニ・ブルスケッタ。監督・原案・脚本は、本作がケッコ・ザローネとのコンビ4作目となるジェンナーロ・ヌンツィアンテ。撮影は「幸せのバランス」のヴィットリオ・オモデイ・ゾリーニ。2016年4月、「イタリア映画祭2016」にて「オレはどこへ行く?」」のタイトルで上映。2017年5月27日より開催される特集上映「Viva! イタリアVOL.3」にて劇場公開。
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批評家。音楽レーベルHEADZ主宰
佐々木敦
イタリアの笑いのツボって、ニッポンとは随分違ってる。細かいくすぐりに満ちたこのコメディーを観ていると、そのことばかり考えてしまう。笑ってしまうこと、笑ってはいけないこと、笑っていけないから笑えること、等々の線引きが、わが国とは相当に異なっており、道徳観と言語の違いなんだろうな、と思う。要するにニッポン人の私には笑えないが、これはイタリアではすごく可笑しいんだろうなと思える場面が目白押しで、笑えはしないが考えさせられた。その意味で興味深い作品だと言える。
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映画系文筆業
奈々村久生
公務員の職に固執する男というだけで映画全体を引っぱれるケッコのキャラクター造形と、演じるザローネの存在感が強烈。彼の人間性からくる規格外の行動、スラップスティックなドラマの展開、それを見せる映像テンポの連携プレーでとてもよくできたイタリアンコメディーとなっている。行く先々でケッコを取り巻く人々も負けず劣らずクセ者揃いだがギャグの処理もスマート。ケッコの赴任先の各国各地が舞台となっているため、フィールドワークムービーとしても楽しめる。
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TVプロデューサー
山口剛
気楽な稼業と公務員を選んだ主人公。行革のあおりをくらって世界の果てまで左遷されるが、あくまでマイペースを貫く奮闘ぶりが愉快。植木等の無責任男・平均や西田敏行の釣り馬鹿ハマちゃんの兄弟分のような男だ。陽気なラテン気質の極楽とんぼの中にある五分の魂、硬骨ぶりをケッコ・ザローネが好演している。かなり強烈な社会批判やジェンダー論が笑いの中に込められている。彼を首にするため僻地まで追っかけ回す女上司がおかしい。これこそ税金の無駄遣いと思うけど……。
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