74歳のペリカンはパンを売る。の映画専門家レビュー一覧

74歳のペリカンはパンを売る。

2016年に創業74年を迎えた東京・浅草の人気パン屋“ペリカン”の舞台裏に迫ったドキュメンタリー。昭和17年創業、現在は4代目店長が経営し、売っているのは食パンとロールパンの二種類のみながら、毎朝、長蛇の列ができるパン屋の秘密とは……? 4代目店長・渡辺陸ら関係者が出演し、その歩みと“ペリカン”のパンの魅力を語る。監督は「ポルトレ PORTRAIT」の内田俊太郎。
  • 評論家

    上野昻志

    いとも、もどかしいドキュメンタリー。浅草の、創業74年の老舗のパン屋さんは、食パンとロールパンの2種類しか作らないのに人気がある。これは確かに、何十種類ものパンを作るのが一般的になった時代に稀有なことではある。経営コンサルタントやスタイリストが、その意義を強調するのはわかるが、そこに比重をかけ過ぎているのが面白くない。もっと具体的な、パンの原料の小麦は特別なのものなのかとか、仕込みの工夫とか、企業秘密に触れない範囲でも知りたいのに、それがないのだ。

  • 映画評論家

    上島春彦

    誠実なパン屋さんがビジネスも成功させて近隣のみならず、遠くの方からも買いに来る。良かったね、と祝福するしかない。でも個人的に、偉そうに出てくる「ここのパンじゃなきゃアタシだめ」みたいなご婦人が一等苦手である。そういう人はいていいし特に文句もないが、それが映画か、と改めて問うならば疑問。結局何がペリカンを成功に導いたか、という一点に作家的視点は収斂するだけなので「良かったね」で終わっちゃう。さぞ美味しいだろうとは思うが「イメージ戦略」だよね、これ。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    最近の内外含めた日本食ドキュメンタリーらしい画面の色調整と無菌室的な空気感にライフスタイル雑誌の別冊付録的と思う。その手の雑誌も割に買う身としてはBGVとして自室で流したくなる映画ではある。美辞麗句を並べる人より、店頭でモグモグと食べる常連が言う感想で、ペリカンのパンが食べたくなった。ベテラン職人と四代目の関係、日本における代用食としてのパンなど深掘りできそうなネタも心地よく流れていってしまうのを不満と感じるか、不要な雑菌の除去と感じるか。

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