ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツの映画専門家レビュー一覧

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

世界規模のファーストフードチェーン“マクドナルド”の創業者レイ・クロックをマイケル・キートンが演じ、巨大企業誕生の裏側に迫る人間ドラマ。1954年。レイは、マクドナルド兄弟が経営する店の革新的システムに勝機を見出し、フランチャイズ化を画策する。共演は「Dear ダニー 君へのうた」のニック・オファーマン、「ted2」のジョン・キャロル・リンチ、「わたしに会うまでの1600キロ」のローラ・ダーン、「死霊館 エンフィールド事件」のパトリック・ウィルソン、「ウォルト・ディズニーの約束」のB・J・ノヴァク、「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」のリンダ・カーデリーニ。脚本を「レスラー」のロバート・シーゲルが担当。監督は「ウォルト・ディズニーの約束」のジョン・リー・ハンコック。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    最初こそ「意外にも創業者の理想を守ってるじゃないか!」と驚くが、やがてマクドナルド弟の言葉どおり「ニワトリ小屋にオオカミを入れた」状態になり、モノを何ひとつ生み出さなくても帝国を手に入れられるカラクリに、兄弟の胸の内を慮るとこちらが憤死しそうになるピカレスク映画。クサい演技の一歩手前で踏みとどまるマイケル・キートンもいいが、最も素晴らしいのは、軽やかさのなかに低音が不穏さを響かせ、勇壮さがアイロニーを演出する、カーター・バーウェルの雄弁な音楽。

  • 映画監督

    内藤誠

    貧富の差別なく、平等に飲食できる「マック」の創設者の裏面史で興味深い。そのゴールデンアーチのチェーン店がミラノの大通りにも出現したというのが当地で一大事となり、私もカメラにおさめた記憶があるが、マイケル・キートン熱演のレイ・クロックがビジネス権を手にしながら名称をマクドナルドとしたのは、呼ぶときの響きのせいだったのだ。レイの人生も波乱万丈だけれど、ジョン・キャロル・リンチとニック・オファーマンのマック兄弟が個性的で、レイの妻ローラ・ダーンも面白い。

  • ライター

    平田裕介

    とにかく貪欲で狡猾なクロックを演じきるM・キートンには、圧倒される。だが、中身のほうは史実を駆け足で追いかけただけになってしまっており、創業者兄弟との確執やフランチャイズオーナーの妻略奪はあっさりで、東欧系ユダヤ人という出自、阿漕な性分になってしまった背景などには触れてないに等しい。そのあたりの有無が毀誉褒貶の激しい人物の伝記映画の出来を左右すると思うが。とりあえず観た後にはマクドナルドのポテトが、いつも以上にしょっぱく感じられたのはたしか。

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