夜間もやってる保育園の映画専門家レビュー一覧
夜間もやってる保育園
様々な家庭の事情に対応した夜間保育園を取り上げたドキュメンタリー。24時間保育を行う東京・大久保のエイビイシイ保育園をはじめ各地の保育現場を取材。親や保育士たちの思いやすくすくと育つ子どもたちの姿を通し、現代社会のかたちを浮かび上がらせる。監督は、介護福祉の現在を見つめた「ただいま それぞれの居場所」で2010年文化庁映画賞文化記録映画大賞を受賞した大宮浩一。
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映画評論家
北川れい子
もっとも大きく取り扱われている新宿・大久保の保育園は我が家からホンの数分、夜間も子どもを預かっていることは知っていたが、このドキュであらためて夜間保育園の目的や実情を知り、教わること多々。その一方、夜間に幼児を保育園に預けてまで働かざるを得ない親たちの存在も気になって。幼児を預けっ放しで引き取りに来ない親もいる現実。新潟県の児童療育教室の取材を含め、沖縄や北海道の情報も興味深かったが、無認可の夜間保育の実態にももっと触れてほしかった。
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映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
私は幼年期母子家庭で育ち、母親の仕事の都合で見知らぬ土地の託児所で一泊もしばしば。そして現在妻は無認可二十四時間営業保育園の雇われ園長。ゆえに本作で描かれていることは感覚として多少わかる。余程裕福な家庭でなければ結構みんなギリギリよ。夜間保育からネグレクト、児童相談所までは遠くない。それを恐れて子どもを持てないひとも多かろう。(夫、父の)男は何をしてる。国は何をしている。暗黒面はさておき、まずは周知のために有意義な映画。観られてほしい。
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映画評論家
松崎健夫
保育園に子供を預ける側と預かる側、双方を取材することで子育ての様々な実例が描かれる本作。例えば「生後4カ月から子供を預ける」ことと「出産から1カ月後が産休明けになる」ことを並列することで、社会のあり方を問うだけでなく、人が働くことの意味をも問うてゆくのだ。それでも子育てをする人々、子供を生むことを選択する人々。問題が片親であることだけに起因しないのは、本来システムを整備する側であるはずの厚生労働省に勤める女性が、子供を預けに来る姿に象徴される。
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