三つの光の映画専門家レビュー一覧
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映画評論家
北川れい子
3人の女性たちの誰一人共感できないのがツライのなんの。聞けばこの作品、主要キャストたちのディスカッションを基に吉田監督が脚本を仕上げたそうだが、世間や社会を閉め出して自分を特別扱いしてくれる仲間や居場所を探そうなんて、演じる3人の女優サン、どんな人生を送ってるんだか。似た者同士の甘ちゃん、甘ったれ。演出も奥歯にものが挟まったように気取っていて、“俗”を避けようとしているのが逆に“俗”っぽい。ディスカッションで作られた作品の監督の立ち位置ってどこ?
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映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
ある日シネコンで立て続けに映画を観ていて最後にP・ヴァーホーヴェンの「エル ELLE」を観、感銘を受けた。他の映画も充分面白かったが、それは様々にそして派手にことを起こすというところに頑張り、成功しているだけとも言えた。「エル」では起こりうる物事をシンプルに物語り、その推移を待つように観るだけでもここまでいける!と思わされた。本作も同種の映画、その感じはある。またリアリティの揺らぎも面白い。着地点を見つけられなかった気もするが、良い作品だ。
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映画評論家
松崎健夫
ひとつひとつの音の集積によって音楽が形成されるように、人と人が織りなす〈人間関係〉もまた、ひとつひとつの出来事の集積によってのみ生まれる。後半で描かれる「ファイト・クラブ」の如き“音ゲリラ”において、喧騒の中で音が音を潰すのと同じように、〈人間関係〉においても人が人を潰してゆくことを本作は提示する。舞台となるのは倉庫やアパートなど限定された空間ばかりだが、5・1chで音を広げることで映画の世界も広がりをみせる妙。不機嫌を纏う池田良の演技が秀逸。
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