プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレードの映画専門家レビュー一覧
プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード
モーツァルト生誕260年を記念して制作された天才音楽家を巡る愛と陰謀のドラマ。プラハで『フィガロの結婚』のリハーサルと新作の作曲に励むモーツァルトは、若手オペラ歌手スザンナと出会い、惹かれあう。だが、パトロンのサロカ男爵も彼女を狙っていた。出演は、「ダンケルク」のアナイリン・バーナード、「高慢と偏見とゾンビ」のモーフィッド・クラーク、「ハイ・ライズ」のジェームズ・ピュアフォイ。
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批評家。音楽レーベルHEADZ主宰
佐々木敦
『ドン・ジョヴァンニ』作曲にまつわるモーツァルトのプラハ訪問を題材にしたフィクション映画。監督ジョン・スティーヴンソンはジム・ヘンソンのアシスタントから出発した特殊効果畑の人で、これが本格的な長篇劇映画デビューであるようだが、どうも全体的に絵作りがテレビ的というか、いちおう歴史大作の割にはスケール感に乏しい。愛憎渦巻く陰謀劇なのだが、ストーリーの進め方もメリハリに欠ける。俳優は皆、美しいし、クライマックスに向けて盛り上がりはするのだが、うーむ。
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映画系文筆業
奈々村久生
18世紀のプラハを舞台にした時代劇。豪華絢爛なオペラのステージや仮面舞踏会のシーンをはじめ、特殊効果やアニメーションを手がけてきた監督のセンスなのか、視覚的なイリュージョンをねらった演出が随所に見られる。お金と技術があれば不倫に三角関係にと泥沼のドラマも芸術的に見えてしまうモーツァルトマジック。クラシック音楽と官能描写の相性のよさも味わえる。衣裳もヘアメイクも美術も照明もあらゆるプロが渾身の力を尽くした超本気のコスチューム・プレイを堪能せよ。
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TVプロデューサー
山口剛
シナリオは『ドン・ジョバンニ』『フィガロの結婚』から着想したようだが、史実とはほとんど無関係のようだ。変態的な猟色家サロカ男爵の絵に描いたような色悪ぶりををめぐって展開するストーリーは、オペラならともかく映画では決して楽しいものではない。肝心のモーツァルトが十分に描きこまれていない。自分の恋愛が招いたヒロインの死にいかなる責任を感じているかもよく分からない。どうしても「アマデウス」と比べてしまうが、この映画いささか下世話に過ぎるようだ。
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