目撃者 闇の中の瞳の映画専門家レビュー一覧
目撃者 闇の中の瞳
台湾の新鋭チェン・ウェイハオ監督によるサスペンス・スリラー。新聞記者のシャオチーは、購入した中古車の持ち主が9年前の当て逃げ事故の被害者だったと知り、独自に調査を開始。だが、警察やマスコミ、修理工ら関係者たちの証言はことごとく食い違っていた。出演は、台湾の若手実力派俳優カイザー・チュアン、『TOP GUY トップガイ』のティファニー・シュー、「百日告別」のアリス・クー。
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ライター
石村加奈
窮地に追い込まれる中、渋味と苦味を増し、冴えてゆく主人公のシャオチーが、10年後のジャニーズWEST・重岡大毅に見えて、ざわついた。実際に演じた台湾俳優のカイザー・チャンとは、目で語るチャームが似ているのかも。割れた鏡に映る複数の目など、古典的な手法だが、観客に恐怖を印象づけるのは、駒鳥をはじめ、作品世界を取り巻くひとつひとつのモチーフにしっかりしたストーリーがあるから。ラストの寓話の真意については理解まで至らず、残念(詳しい方、ご教示ください)。
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映像演出、映画評論
荻野洋一
誰かが何かをたくらんでいなければ、こんな不吉な符合はあり得まい。そう主人公は不審に思い、目撃してしまった事件をたぐり寄せるつもりだろうが、逆に観客には彼が目を閉じていくように思える。決定的瞬間の目撃が重層化していく一方、そもそもこれは目を逸らすこと、脇見運転によって現実を歪曲してしまうことについての映画ではないか。事の発端、物語の推進力はつねに登場人物たちの脇見と注意散漫と共にある。主題を裏の主題が裏切る、という皮肉な構図の作品だ。
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脚本家
北里宇一郎
どうも最近、謎が解けても釈然としないミステリー映画が多くて。しかも後味が悪いっていうヤツ。これもそんなイヤミス系で。深夜の交通事故。その目撃者、被害者、加害者が絡んだ物語展開だが、ちと要素が多すぎの印象。謎のための謎というか、見る者をギョッと驚かすための仕掛けに熱が入って、推理劇に不可欠な論理的な思考をないがしろにしている感が。ゆえに後から考えると、首をひねりたくなる設定だらけで。刺激ばっかという、最近流行りの映画の悪いとこだけを踏襲したようで。
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