そらのレストランの映画専門家レビュー一覧
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映画評論
北川れい子
「しあわせのパン」のパン、「ぶどうのなみだ」のワイン、そして本作ではチーズと、どうも北海道映画シリーズは、ごはんに味噌汁という食生活はお呼びじゃないらしい。しかもどの原材料も有機栽培、無農薬の手間暇かけた特産品。確かに人から貰えば嬉しい品々だが、3作も続くと、苦労話に美談を盛り込んだ、観光&特産品のパンフレットシリーズのよう。同じ北海道が舞台でも、大泉洋が主演だけに吉永小百合「北の三部作」ほど重くも寒くもないが、次回はぜひ米作りの話でも。
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映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
まったくもって勝手にこういう映画と魂の闘いを続けてきた。「かもめ食堂」を代表的な例とするような、丁寧に生きる系映画。都会に憧れない映画。家具とか内装が白木づくしの無印良品のカタログみたいなところで暮らす人たちの映画。素晴しいとは思うが、自分がそうは生きられないのと、そういう映画の人物や世界に、カットの声がかかると同時に消えうせていそうな持続不可能さを感じてしまい、反発してきた。だがあれを目指すほうが健康に良い。すいません。私は敗北しつつある。
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映画評論家
松崎健夫
〈食〉を扱う作品を取り上げる際、これまでも「おいしい」という類いの言葉を使わずに料理・調理されたものを如何に「おいしく」見せるのかを問うてきた。本作でも「おいしい」という言葉を連発するが、香ばしさを感じさせる〈音〉や、熱でのびるチーズという〈視覚〉に訴える描写によって「おいしさ」を冒頭から演出。「おいしい」と感じていることが“平和”である証拠だと描くことで、大泉洋を主演に北海道と食をテーマにする地産地消大喜利という更なる連作への可能性を覚える。
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