覚悟はいいかそこの女子。の映画専門家レビュー一覧

覚悟はいいかそこの女子。

椎葉ナナによる同名少女漫画を、「少女ピカレスク」の井口昇監督、「虹色デイズ」の中川大志主演で実写化。イケメンなのに恋愛経験のないヘタレの斗和は、彼女を作ると宣言。学年一の美少女・美苑に狙いを定めて再三アプローチするうちに、本気で恋をする。井口監督と中川大志はテレビドラマ『監獄学園-プリズンスクール-』以来のタッグ。主人公が恋するクールビューティ三輪美苑を「ラブ×ドック」の唐田えりかが、恋敵の教師・柾木隆次を「サラリーマンNEO 劇場版(笑)」の小池徹平が演じる。映画公開に先駆け、前日譚が連続ドラマとして放映された。
  • 映画評論家

    北川れい子

    監督は「片腕マシンガール」「電人ザボーガー」ほか、ぶっ飛びシネマの達人。ヒロイン役は「寝ても覚めても」で恋に不器用な主人公をスリリングに演じていた唐田えりか。原作は少女漫画でもどこかで大胆なチャブ台返しがと期待したのだが、少女漫画のシバリは甘くないようで、ウーム残念。それでも中川大志が演じるヘマ男くんはいっぱしのストーカー男子に描かれ、母親と2人暮らしの唐田えりかはヤクザの借金取りにアパートのドアをガンガンされ、キラキラのラブ・コメとは一味違う。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    正直こういうキラキラ青春映画のメディアミックスについて追いきれていないことが多く精密な批評としてはドラマ版と比較してどうだということも言うべきなのでしょうが本作についてはそれを果たせません。しかしこういうものの長く組んできたキャスト陣の醸すブラットパック感とでもいうべき連帯感はわかるし、良いなと思います。あとタイトルに反してこれはヘタレ男子のジタバタとかっこ悪さと覚悟の物語であり、私の知る監督井口昇はその切なさを謳うのに適任の作り手ではある。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    この映画は“人の気持ち”を描こうと試みている。映画の入り口では、学園ドラマにありがちな「彼女をモノにする」という知能指数の低い物語を提示。やがて、男前ながらも「シラノ・ド・ベルジュラック」のような“まごころ”を描いた映画へと転調してゆくのが痛快。物語の緩急によって様々な対比を生んでいるが、唐田えりかの強弱を持つヒロイン像は、それに適っている。言葉にすると安く聞こえるが、昨今の〈壁ドン系映画〉に対する批評性をも帯びた「井口昇の新境地」と評せる。

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