バッド・ジーニアス 危険な天才たちの映画専門家レビュー一覧
バッド・ジーニアス 危険な天才たち
高校生のカンニングをスタイリッシュ描くタイ発クライム・エンタテインメント。進学校に特待奨学生として転入した天才的頭脳を持つ女子高生リン。テスト中にカンニングで友人グレースを救うと、グレースの彼氏からカンニングで金を稼ぐことを持ちかけられる。監督は、「Countdown」が第86回アカデミー賞外国語映画賞タイ代表に選ばれたナタウット・プーンピリヤ。出演は、モデル出身で本作が映画初出演となるチュティモン・ジョンジャルーンスックジン。2017年ニューヨーク・アジアンフィルム・フェスティバル作品賞・ライジングスター賞、2017年カナダ・ファンタジア映画祭作品賞・監督賞、2017年福岡国際映画祭観客賞受賞。
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批評家、映像作家
金子遊
2年前、バンコクのシーナカリンウィロート大学で講義をした。大学生も制服姿なので高校生みたいに見えるのだが、タイに本格的な学歴社会と受験戦争が迫っているのを感じた。中国で起きた実話がモティーフとのことだが、カンニングの手口が推理小説のトリックのようで見事。銀行強盗ものでは、観客は犯人の視点に同一化して一緒にハラハラするが、本作のクライマックスも同様で「何とか逃げ切って」とカンニング大作戦を応援してしまう。学歴社会なんかカンニングでぶち壊せばいい!
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映画評論家
きさらぎ尚
生徒に正気を失わせるまでにタイでも受験は熾烈だったのだ。でも貧しいヒロイン=天才的頭脳の持ち主、金持ち=頭の良くない生徒たちという設定に加え、持てる側が持たざる者を利用するといった筋立てが、何だかなあ……。受験に血眼になる高校生の軽さが面白いので、いっそこのノリで入試制度をぶち壊す方向に展開するとか、もうひとひねりあってもよかったかも。時差を利用したカンニング・ビジネスは、飛躍し過ぎてリアリティが不足。見どころは、ヒロインの高校生らしい動揺ぶり。
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映画系文筆業
奈々村久生
今月引退した安室奈美恵も、かつて「That's カンニング! 史上最大の作戦?」で女子大生を演じていたが、フランスの「ザ・カンニングIQ=0」に代表されるカンニング大作戦ものはこの度タイで再ブレイク。現代ならではのIT技術と昔ながらのアナログ戦法の合わせ技を、的確なカット割りと編集で操り、やや飛躍した展開もエンタメにひとまとめ。ヒロインは並外れたスタイルの良さと、愛嬌をかなぐり捨てた苦虫フェイスの豊かなバリエーションで、じわじわと惹きつける味がある。
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