僕たちのラストステージの映画専門家レビュー一覧
僕たちのラストステージ
サイレント期からハリウッドで活躍したお笑いコンビ“ローレル&ハーディ”の晩年の実話を映画化。1953年、スタン・ローレルとオリバー・ハーディは英国でツアーを開始。だが、かつての人気は既に過去の栄光に。空席の目立つ苦しいツアーが続くが……。出演は「あなたを抱きしめる日まで」のスティーヴ・クーガン、「キングコング:髑髏島の巨神」のジョン・C・ライリー。メガホンを取ったのは、「フィルス」のジョン・S・ベアード。
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翻訳家
篠儀直子
原題の「スタン&オリー」を日本語題名にも入れておいてほしかった気がするが、客入りがよくなる過程、芸の見せ方など王道を行く作りで、バックステージ物愛好者(つまりわたし)にとって宝石のような一本。鑑賞するのに実物のローレル&ハーディの出演映画を観ておく必要はなく、見事に演出された衆人環視の口論シーンのあとは、あらゆる言動に最後までさめざめと泣かされる。持ち芸と現実を絶妙に混濁させているのも伝記映画として面白い。タイプの違う妻ふたりの珍コンビも最高。
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映画監督
内藤誠
ローレル&ハーデイにそっくりの雰囲気をもったスティーヴ・クーガンとジョン・C・ライリーがハリウッドのスタジオに登場し、6分間1カットで喜劇的な芝居をするオープニングには感動した。ケネス・アンガーの「ハリウッド・バビロン」などで、この時代の俳優たちの物語を知ってきたわけだが、舞台はイギリスに移り、すでに過去の人となりかけた二人の感情を追っていくので、興味深く、新鮮だ。その妻たちをシャーリー・ヘンダーソンとニナ・アリアンダが闘志むき出しに競演する。
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ライター
平田裕介
ヴォードヴィルから羽ばたいたふたりが、舞台で最後の輝きを放つ。その大筋に文句はないが、けっこうな距離を移動し、あちこち回るのだから、もっとロードムービー然とさせてもいいのではないか。おまけに駅が舞台のコントも登場するし、そこで旅を絡められるのではないかという想いが頭をよぎる。だが、それは主演ふたりが織りなす絶妙なコンビぶりを眺めているうちに途中から霧消、舞台や主演映画よろしくホテル・フロントのベルを取り合うシーンには本気でニンマリしてしまった。
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