アンダー・ユア・ベッド(2019)の映画専門家レビュー一覧

アンダー・ユア・ベッド(2019)

大石圭の同名ホラー小説を「多十郎殉愛記」の高良健吾主演で映画化。11年前、自分のことを名前で呼んでくれた千尋のことをふいに思い出した三井は、彼女の自宅を探し、近くに観賞魚店を開く。やがて彼女を監視するようになると、思いがけない姿を目撃する。出演は、「私は絶対許さない」の西川可奈子、「ガチ星」の安部賢一。監督は、「氷菓」の安里麻里。
  • 映画評論家

    北川れい子

    高良健吾の抑えた緊張感と、ひっそりした息使い――。“R18+”という枠付きの映画だが、安里監督、熱帯魚などの小道具で変化をつけながら、主人公のストーカー行為を観察するように描き出す。けれども、ずっと影が薄い存在だったという孤独な主人公の心理的密室感はともかく、ストーカーされる彼女とその夫の話がいかにもなのがザンネン。どこの家にも窓の奥には秘密があると言えばそれまでだが、いっそ逆に、幸せなカップルにした方が主人公のストーカー行為が宙に浮き、面白いのに。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    画面の遊びとして「恐怖分子」か!「愛情萬歳」か!というところがあって警戒したがそれは枝葉。あくまで全体のモードが本気。俺はやるぜと気合いいれた高良健吾の戦闘モードが成人用オムツ装着、の滑稽さが流れを止める滑稽にならぬあたりの凄み。高良、安部賢一も熱いがなにより西川可奈子の体当たりによって成立している。彼女は壇蜜、佐々木心音のような角川エロスヒロインの星座に列した。変態的で物悲しく狂っていて切実な物語を映像で語られた。映画を観たという充実あり。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    ベッドの下に男が隠れている、それはなぜなのか? という倒置法のような構成が映画に強いインパクトを与えている。そして重要なのは、人物の描き方に対するバランス。ともすれば、異常な行動をとる人間は“単なる異常な人間”にしか見えなくなる。登場人物の間に暴力の均衡や性的衝動の均衡を感じさせるのは、“行動”が絶妙に分散されているからだ。また本作には“スターの力”も感じさせる。別の役者が演じれば全く異なる印象になっているはずで、そこに高良健吾が演じる意味がある。

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