いなくなれ、群青の映画専門家レビュー一覧

いなくなれ、群青

「サクラダリセット」原作の河野裕による同名青春ミステリー小説シリーズを「チア男子!!」の横浜流星と「きょうのキラ君」の飯豊まりえ出演で実写映画化。謎だらけの島、階段島で再会した七草と真辺由宇。由宇の登場によって、安定していた日常が一変する。監督は、「今日という日が最後なら、」の柳明菜。
  • ライター

    須永貴子

    テーマに触れるだけでネタバレになるのでここでの言及は避けるが、真相が明らかになったときに「……で?」と思ってしまった自分は、この青春ファンタジーにカタルシスを感じるには大人になりすぎてしまったのだろう。それはさておき、白昼夢のように美しい映像のなかに、タクシー運転手に至るまで美形だらけのキャラクターを配置し、意味深で演劇的なセリフを放たせることで、閉ざされた異世界を作り上げた監督の力量は確か。まったく違う題材の監督作品を見てみたい。

  • 脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授

    山田耕大

    捨てられた人たちが連れて来られた〈階段島〉という小さな島で少年少女たちが高校生活を送る。その生活はどこにでもあるごく当たり前のもの、そういう島だからこその生活でもない。彼らはなぜ連れて来られたのか、いやそもそも何に誰に捨てられたのかわからない。彼らがどんな人間なのかよくわからないから、悩んで眉間に皺を寄せたり、泣きながら話したりしても単なる顔面の筋肉の動きにしか見えないし、台詞は空虚な言葉の羅列にしか聞こえない。何を狙った映画なんだろう。

  • 映画評論家

    吉田広明

    気づくと大人のいない島にいた中高生たち。彼らの正体は、そして何故ここに。ネタばれだから言えないが、その発想自体が中二病なのだ。中二病を扱うに、自虐のユーモアがないとこうも痛々しい。出てくる人物皆典型(委員長女子、熱血少年、トラウマ音楽少女、ヒネた文学少年)で、それに意味はないわけではないが、学芸会でも見せられている気分だ。原作は「心にくさびを打つような美しい文章」だそうだが、カッコつけすぎて(それも中二)日本語としてどうかと思う台詞も多々。

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