ハッパGOGO 大統領極秘指令の映画専門家レビュー一覧

ハッパGOGO 大統領極秘指令

マリファナ合法化で揺れるウルグアイの社会情勢を背景にしたコメディ。“世界一貧しい大統領”として知られた元大統領ホセ・ムヒカが友情出演。政府がマリファナを合法化。薬局を経営するアルフレドは早速、ブラウニーにマリファナを混ぜて売り始めるが……。監督・原案・脚本を兼任したデニー・ブルックナーが主演を務める。キャスト、監督ら6人で米国に乗り込み、約100時間に渡って大麻の実情をカメラに収めた。
  • ライター

    石村加奈

    おおらかな大人の笑顔に救われる。作品全体をほのぼのとしたテンポで包み込む牧歌的な劇伴音楽のような、主人公アルフレドの母タルマ。演じたのは、演技経験ゼロの監督の実母だとか! スカイブルーのブラウスもSMの女王様ルックもよく似合う、堂々とした存在感で、お調子者の息子を見守る、貫祿のおかんを好演する。出色は、マリフアナを合法化したムヒカ前大統領本人の出演だろう。作品を観て「ユーモアは大切。でも時には真面目に働きなさい」なんて、センスのよすぎるコメントには脱帽。

  • 映像演出、映画評論

    荻野洋一

    『どっきりカメラ』を初めて見る視聴者のように動揺すること必至の風刺喜劇で、怪しげな甘味料でコーティングされた猛毒だ。ウルグアイ映画人の辛辣な自己風刺力に舌を巻く。人材/予算不足ゆえ、国家事業をなぜか市井の母子がゲリラ的に進めてなんの疑問も持たない。擬似ドキュメンタリーの白々しさが、コロラド、NY、ワシントンと北米各地を渡り歩くうちにマリフアナの作用もあってか、なおかつ南米仕込みのサッカーテクニックが互恵意識を醸成し、祝祭的人間喜劇へと昇華してゆく。

  • 脚本家

    北里宇一郎

    マリフアナを合法化した国家の混乱を諷刺したフェイク・ドキュメント。ウルグアイ映画というのが珍しい。薬局の経営者とその母がハッパを求めて米国を珍道中。元麻薬捜査官まで道連れにしてのクスグリの趣向は、かの国の人と感覚が違うのかさほど笑えない。なんだか(公認、密売含めた)米国の大麻販売のリポートを観ている気分。いっそのことウルグアイが大麻を大量栽培・加工して、世界を相手に商売するって設定にしたら、と。もっと話をでっかくして。実物の大統領が演技も含めてご愛敬。

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