ホームステイ ボクと僕の100日間の映画専門家レビュー一覧
ホームステイ ボクと僕の100日間
森絵都の小説『カラフル』をバンコクに舞台に映画化。死んだはずの“ボク”の魂が自殺した高校生ミンの肉体に宿ることに。100日間でミンの自殺の原因を見つけないと、“ボク”の魂は永遠に消えると告げられ、“ボク”は新生“ミン”として再び生き始める。出演は、「バッド・ジーニアス」のティーラドン・スパパンピンヨー、BNK48のチャープラン・アーリークン。監督・脚本は、「心霊写真」のパークプム・ウォンプム。
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非建築家、美術家、映画評論、ドラァグクイーン、アーティスト
ヴィヴィアン佐藤
映画の尺が、主人公が喪失された過去を取り戻す時間よりわずかに長い。その時間が再生・希望へと変化する。擬似記憶喪失の回復もしくはSF探偵小説の趣。主人公は「他人の自分」になりすますことで、徐々に「私とは誰か」・「自分探し」の旅に出る。「私は誰?」=「私は誰を追っている?」=「私は誰が好き?」という図式は、フランス語の「Qui suis-je?」という意味に込められている。そんなことを思い出した。原作は日本の小説とのことだが、さらに瑞々しいタッチと世界観に到達した。
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フリーライター
藤木TDC
原作者の生地、日本では実写とアニメで2回も映画化。有名な生き直しジュブナイルのタイ版はさらに甘口なアレンジで初恋気分やら思春期の孤独やら、んな感情はとうにしなびたオッサンには不向きな味つけ。プラス志向に切り替えあえて良かった部分を探すと、原作が日本の小説という以上に雰囲気が邦画的で、タイにおける日本の芸能文化の影響力が分かること。また大人になれば皆自分勝手に生きて良し(浮気も可)とするタイの神様の尊い教えが感じられ、心のよりどころになる。
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映画評論家
真魚八重子
原作は未読。ファンタジースリラーとして、序盤から意外性のある雰囲気は保っている。自殺を図った高校生ミンの持つ陰惨な暗さが、彼の身体に逗留することになった“ボク”の瑞々しい青春模様と陰陽を織りなす。ただ大人の目線で観ると、ミンの抱えた苦悩も「十代とはそういうものだろう」というありきたりな悩みに思えて新鮮味はない。スリラーとして謎が次々と現れる展開は悪くないが、青春劇としては決して突出しておらず、オチに意外性がなくて逆にビックリ。
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