いけいけ!バカオンナ 我が道を行けの映画専門家レビュー一覧

いけいけ!バカオンナ 我が道を行け

バブル時代の女の友情を描いた同名コミックの舞台を現代に変え、「ばぁちゃんロード」の文音主演で実写映画化。外ではイケイケな女を気取っているが、家では地味な生活を送るアラサーのユウコ。ある日、ハーフで美人のセツコと出会い、ライバル視するが……。出演は、「CUTIE HONEY TEARS」の石田ニコル、「カメラを止めるな!」の真魚。監督は、「シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸」の永田琴。
  • フリーライター

    須永貴子

    この映画の敗因は、バブル時代を舞台にした作者の自伝的ストーリーを、現代にうまく置き換えられなかったことにある。映画の設定は二〇一〇年から二〇一七年。アップデートされているのはSNSなどのコミュニケーションツールだけで、描かれる価値観は前時代的で表層的。主人公の大学時代のファッションや(特に)ヘアメイクが原作の造形に引きずられており、違和感が凄まじい。演者に大げさな表情や発声をさせて、瞬きに効果音を付けるなどの演出もアップデートが必要だ。

  • 脚本家、プロデューサー、大阪芸術大学教授

    山田耕大

    かつて『白鳥麗子でございます!』等で一世風靡した鈴木由美子が原作。二十年以上前のバブル期の漫画を現代に設定し直している。そう言えば、映画はあの頃の空気感が匂っている。バカオンナと題されているが、女性たちはバカではない。派手目で押し出しは強いが、むしろ真面目。大酒飲んで泥酔し、気付かぬうちに処女を失くしたりするが、その男と地道に愛を育み、女同士の友情もきっちりキープ。バカと見えるが、バランスよく賢く生きている。嫌味がなく、気持ちがいい。

  • 映画評論家

    吉田広明

    理想と現実のギャップと葛藤の末、高い理想を求めるよりも、居心地よい現実を選択するという物語は普遍的とも言えるが、ヒロインら自身のギャップ(オシャレ意識高いのに家でジャージ、カップ焼きそば等)を誇張するようなコメディ処理で結局紋切り型に堕ちている。現在時にアップデートされているのでそれほど違和感はないものの、バブル期の原作コミックの映画化だけに、高学歴高収入イケメンと結婚するのが女の幸せという、根本をなすヒロインの価値観もいかにも古臭くて鼻白む。

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