リアム・ギャラガー アズ・イット・ワズの映画専門家レビュー一覧

リアム・ギャラガー アズ・イット・ワズ

歌手のリアム・ギャラガーの、1990年代UKロックを牽引したバンド『オアシス』時代からソロミュージシャンとして復活するまでを追ったドキュメンタリー。破天荒な行動から度々バッシングを受けた彼の成功と挫折、再起を賭けた復活劇を10年にわたり撮影した。膨大なライブ映像と身近な関係者の証言を織り交ぜ、リアム・ギャラガーの素顔と家族への思いを浮かび上がらせる。監督は、数々のドキュメンタリー作品を手がけるギャビン・フィッツジェラルドと、本作のために10年以上にわたりリアムを撮影してきたチャーリー・ライトニング。
  • 映画・音楽ジャーナリスト

    宇野維正

    リアムにもノエルにも何度も取材し、オアシス含め彼らのライブを数え切れないほど体験してきた立場から言うと、作品の意図が見え見えでちょっと白ける。「オアシス解散後にどん底まで落ちてからの復活劇」という筋立ては、私生活においては事実かもしれないが、キャリアにおいてはそこまでドラマティックなものではない。そして若い世代がライブに戻ってきたのは、レコードと同じボーカリストがオアシスの曲を歌うからだ。本作はその真実を周到に避けて、ノエルを一方的に攻撃する。

  • ライター

    石村加奈

    リアムの平坦な歌声を聴いていると、ひ弱な自分でも淡々と困難を乗り越えられる気分になれた。久々に聴いたその声はオアシス当時よりやさしく響いたが〈リトル・ジェームス〉の時も甘やかだったから、いまの方が彼の本質が出ているのだろう。「『アズ・ユー・ワー』はあいつら(若いファン)にとっての『ディフィニトリー・メイビー』だ」と自信たっぷりに言える彼は、音楽を通して世界を見るよろこびに包まれている。「自分の声が好き」と語る時の、リラックスした表情もキュートだった。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    音楽的才能に溢れた兄のノエルと共に時代の寵児となるが、その兄との確執によりバンドが解散、“現実に着地した”リアム・ギャラガー「その後」の話。作中語られる「ノエルは音楽の重要性を過大評価し、リアムを過小評価した」というのが全てだと思うが、全盛期を知っている者からすればリアムがそれを証明するため葛藤する姿にグッときてしまう。同時代、同じく一世を風靡したというのもあるが「トレスポ2」を観た感触と近い。レントンもリアムもジョギングが趣味になっているし(笑)。

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