ステージ・マザーの映画専門家レビュー一覧

ステージ・マザー

ジャッキー・ウィーヴァー主演の心温まるドラマ。テキサスの田舎町で疎遠だった息子の死の報せを受けた母メイベリンは、葬儀に参加するため、サンフランシスコを訪れる。ところがそこで、ドラァグクイーンだった息子が経営していたゲイバーを相続することに。共演は『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』のルーシー・リュー。
  • 映画評論家

    小野寺系

    ドラァグクイーンの息子を嫌悪し、彼の葬儀で仲間たちのパフォーマンスが始まると席を立って帰るくらいに偏見のある母親が主人公。そのつもりで観ていたら、息子への後悔の念が芽生えたとはいえ、そこからゲイバーを経営しだしたり、従業員のため暴力男に命懸けの抵抗を示したりと、突然革新的で気骨ある人物になってしまうのに戸惑ってしまい、せっかくの進歩的なメッセージがすんなり入ってこない。設定の近い「ヘンダーソン夫人の贈り物」の無理のないバランスを参考にしてほしい。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    映画では、例えば息子がゲイである場合、父親が拒絶反応を示すケース多い。大抵は母親が間に入って緩衝の役目を果たす。ところがこの映画は役目を果たそうにも息子は他界。結果、初老に差しかかった母親のサクセス・ストーリーになっているが、J・ウィーヴァーのパワフル、かつ確信的な前向きさが肝。それは息子に先立たれた母ならではの哀しみ、そして年の功からくる包容力が話の芯にあるからこそ。ショーの華やかさと相まって、特別な一本とまでは言えないが、感じが良く楽しい。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    娯楽映画のクリシェを駆使した効率的な語りでこのストーリーを90分に収める手際の良さは見事で、ルーシー・リュー扮するシングルマザーのキャラクターなどが映画に軽やかさを与えていて観やすくはあるが、ドラァグクイーン文化に息子の命を奪われたともいえる母親がゲイバーの経営に乗り出すまでの葛藤の描写が芯を食っておらず、セクシャルマイノリティや薬物中毒の扱いはひと通り表面をなぞっているだけの印象な上、主人公の恋愛描写もおざなりで、これでは結末に納得できない。

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