返校 言葉が消えた日の映画専門家レビュー一覧

返校 言葉が消えた日

台湾の大ヒットホラー・ゲームを実写化し、第56回金馬奨で最優秀新人監督賞を含む5部門を受賞したダークミステリー。女子高生ファンが教室で目を覚ますと周囲は無人。校内をさ迷う彼女は、政府から禁じられた本を読む読書会メンバーの男子学生ウェイと出会う。主演はドラマ『あすなろ白書~Brave to Love~』のワン・ジン。ジョン・スー監督による長編デビュー作。
  • 映画評論家

    小野寺系

    怪奇的恐怖を扱いながら、「?嶺街少年殺人事件」の世界観に触発された面もあるという原作ゲームを、またさらに映画にしているのが面白い。ゲームで印象的だった横スクロール風の演出が、本作ではそれほど活かされていなかったのは残念だが、製作費などの都合で大掛かりな撮影を断念せざるを得なかったのは理解できるところ。とはいえ、時代の狂気と悲劇を写しとった物語やテーマ、拷問の描写などは、配信ドラマ版よりもさらに我々の現実と繋がる恐怖を描き得ていると感じられた。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    同じ白色テロが題材の名作「悲情城市」「?嶺街少年殺人事件」とは違う、今の時代のポリティカル・エンタテインメントとして評価できる。不穏で混沌とした現代の世界各地、いや今の日本でこの映画を見ると、例えば劇中、軍人風の衣裳をまとった国家権力の象徴が強いる「忘却」が、リアルタイムの恐怖に。国民の忘却を待つかのように隠蔽し、意味のない言葉を繰り返し、はぐらかされていては歴史に向き合えません。原作ゲームを知らずとも、主題とズレた見方だとしても、感応する。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    大ヒットホラーゲームが原作らしく、映像表現にはあらゆる工夫が施されており製作陣の気合いがうかがわれるものの、白色テロルという社会派要素と裏切り者は誰だ的なサスペンス要素、死後の世界と霊、果てはクリーチャーまで出てくるホラー、スリラー要素に加え、禁断の恋を扱った恋愛要素までもを盛り込んでいるのは流石に欲張りすぎなうえ、時制をやたらと入れ替える構成も話をややこしくしているようにしか感じなかったのだが、ゲーム世代の若者にはウケる内容なのかもしれない。

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