ワン・モア・ライフ!の映画専門家レビュー一覧

ワン・モア・ライフ!

「ローマ法王になる日まで」のダニエーレ・ルケッティ監督によるコメディ。事故死したパオロが天国の入口で予想外に短い寿命について猛抗議したところ、計算ミスが発覚。92分間寿命が延長され、地上に戻ったパオロは残りの時間で家族の絆を取り戻そうとする。天国へ旅立つまでの92分を、リアルタイムで進行させ描写。地上に戻り人生の巻き返しを図るパオロを、「マフィアは夏にしか殺らない」など監督としても活動するピフことピエールフランチェスコ・ディリベルトが演じる。
  • 映画評論家

    小野寺系

    ディケンズの「クリスマス・キャロル」や、「素晴らしき哉、人生!」のイタリア版といえるコメディ。設定の不備や荒唐無稽な内容を、ユーモアで軽やかに処理しているところが楽しく、イタリアの下町に生きる、ちょっと伊達な男性の人生を体験できる内容も味わい深い。一方で、生きる価値が家族や女性関係など、他者とのつながりのみに集中していることで、内容が冗長になっている面もあるように思える。雰囲気が良い作品だけに、もう二、三転くらいの展開を用意して欲しかった。

  • 映画評論家

    きさらぎ尚

    題材そのものは目新しいものではなく、ルビッチやキャプラの名作が浮かぶが、D・ルケッティのこの映画は着想が面白い。“たら・れば”と人生を悔やむのは詮ないことではあり、オマケにもらった92分間で何ができるか。限られた時間内で主人公のやることはともかく、その92分間をリアルタイムで演出したという監督の手法に興味が向くが、結果は予想以上に普通の家族ドラマだった。やはり最後は妻や子どもとの絆か。イタリア映画らしい陽気さはあるが、もう少し弾けることを期待していた。

  • 映画監督、脚本家

    城定秀夫

    スムージーが寿命に及ぼす効果を計算していなかったという天国の役場のミスにより92分だけ下界に戻ることを許されたって設定、死因が交通事故ならスムージー関係なくないか? などということをいちいち気にしてはいけないと開始早々に察するも、回想と妄想を恣意的に混在させた時制の乱暴な扱いはタイムリミット物のウマ味を逃す悪手にしか思えないし、映画のテーマらしきものがようやく終盤で顔を出したと思いきや唐突に荒れ球気味のオチを投げられ、なんだか煙に巻かれた気分。

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