スプリーの映画専門家レビュー一覧

スプリー

    ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のジョー・キーリー主演のスリラー。SNSで注目を浴びてスターになることを夢見るカートは、ライドシェアアプリの運転手の仕事をしながら、乗客を殺害する様子を生配信するというアイデアを思いつくが……。監督・脚本は、ウクライナ出身の新鋭、ユージーン・コトリャレンコ。出演は、『サタデー・ナイト・ライブ』のサシーア・ザメイタ、「スクリーム」シリーズのデヴィッド・アークエット、「ブリグズビー・ベア」のカイル・ムーニー、ドラマ『The O.C.』のミーシャ・バートン。
    • 映画・音楽ジャーナリスト

      宇野維正

      『ストレンジャー・シングス』のスティーブが当たり役となったジョー・キーリーが、Uber的サービス(タイトルの「スプリー」はその会社名)のドライバーとして迷惑系YouTuber的行動(劇中のモチーフはインスタライブだが)を重ねていく、極めて今っぽい作品。ストーリーは早々と非現実的な方向に転がっていくが、ソーシャルメディア社会の自己承認欲求モンスターの生態自体が非現実的なほど滑稽であるという批評にはなっている。それを映画で観たいかどうかは別の話だが。

    • ライター

      石村加奈

      SNSの恐怖と不条理を描いた、新感覚ジェットコースター・スリラー。画面に表示される、理不尽なフォロワー数の増減が、生々しい。車に取りつけられた夥しい数のカメラのチープな映像もリアルだ。人生の一発逆転をかけて、暴走する若き主人公カートの不穏さがジョー・キーリーの持つ魅力と相まって、目が離せない。カートに立ち向かうコメディアン、ジェシー・アダムスを演じたサシーア・ザメイタとのバランスも絶妙だ。ユージーン・コトリャレンコ監督の練られた脚本力に興奮。

    • 映像ディレクター/映画監督

      佐々木誠

      SNSでバズりたいカートが実行するライドシェアを使った殺人生配信。それをスマホの画面やGoPro映像だけで構成、「ありふれた事件」「サーチ」などPOVサスペンスを思い出す。ネタ系動画制作者は、仕込みと現実のギリギリを狙うセンスが問われると思うのだが、それがない者はマジを捨て身でやるしかない。SNSが生んだその「いいね」至上主義の滑稽さが全篇を貫く。カートが作る楽曲のショボさやガラガラのDJイベントなど既視感を煽る細部の演出が上手くて、痛い。

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