ニューイヤー・ブルースの映画専門家レビュー一覧
ニューイヤー・ブルース
「あなた、そこにいてくれますか」のホン・ジヨン監督が、多彩なキャストを迎えて撮り上げた恋愛群像ドラマ。就職や恋愛、結婚など様々な悩みを抱える4組のカップル。来年はより幸せになりたいと願う彼らの、不安とときめきに満ちたクリスマスからの7日間を綴る。出演は「ビューティー・インサイド」のユ・ヨンソク、「結婚前夜 マリッジブルー」のイ・ヨニ、「死体が消えた夜」のキム・ガンウ。
-
映画評論家
上島春彦
香港にはお正月映画というジャンルが存在するのだが、韓国ではどうなのかな。ともあれ、ある新年への一週間カウントダウンを四つのカップル(恋人同士だけじゃなく知り合ったばかりの人もいる)のすったもんだを核に描く。フィクション世界はコロナ禍じゃない。ウェス・モンゴメリー風のクリスマス・ジャズソングは軽快でいいんだが、何となくハッピーエンド前提みたいな定番企画。なので儲け役は主演陣じゃなく、弟が中国美人と結婚間近の未婚女性。魅力は彼女が総取りって雰囲気も。
-
映画執筆家
児玉美月
オムニバスや群像劇の類の作品は、どうしても一つ一つのエピソードが薄くなるのは致し方ないために、いかに有機的にそれぞれを繋ぎえるかも価値判断の材料になるが、この複数のカップルを描く群像劇はそこが成功していない。会話する人物のバストショットが延々と続くテレビドラマ的な演出も、画面にデジタルデバイスのディスプレイやSNSのアイコンが無邪気に映されるのも、陳腐さに拍車をかけている。日本で公開される韓国映画とて、質が高いとは言えない作品は当然ながらある。
-
映画監督
宮崎大祐
日本の90年代を思い出す躁的な空気が渦巻く群像劇。テレビドラマもテレビ局映画もまったく見ることなく40を過ぎてしまったわたしにはこの手の楽観性や肯定性が眩しすぎて、かといって作者の都合で意味もなく本音ゲームがはじまるようなトレンディ・ドラマには生きる気力を削がれるばかりで。俺がスクリーンに求めているのは地獄を這いずり回った末の悪魔のあたたかみだ!と叫んでみても、そんなものは今や誰も必要としていないのだろう。みんな幸せならそれでいいんだけど。
1 -
3件表示/全3件