ポプランの映画専門家レビュー一覧
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映画・音楽ジャーナリスト
宇野維正
あくまでもシリアスな「なん・なんだ」とは違って、今作はトキシック・マスキュリニティへの自己批判をカリカチュアしたコメディ作品。なのだが、上田慎一郎監督の過去作同様、プロットのための突飛な設定や展開のための仕掛けが多すぎて、自家中毒に陥っている。画的にあまりにもツカミのない冒頭シーンの時点で、作り手が映画的な審美性にはまったく興味がないことがわかる。それが作家としての個性であることは尊重するとしても、全体のテンポの悪さはいかんともしがたい。
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映画評論家
北川れい子
今どきイチモツ話?! と正直、戸惑うが、ノリと勢いばかりが目についた過去の作品と比べ、今回の上田監督、演出や映像にそれぞれ工夫があり、これで脚本をもうひと捻りして笑いを盛り込んだら、もっと面白くなったのに。中盤からイチモツ探しを兼ねた過去の自分探しとなり、あげく少年時代のように捕獲網をぶんまわし。ともあれドタバタ劇とは異なるシリアス風味で、主人公に降りかかったトンでも悲劇を、教訓話にすり替えるとは、なかなか達者。イチモツに幸あれ、なんてね。
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映画文筆系フリーライター。退役映写技師
千浦僚
映画とチンコの関係、映画におけるチンコについて日々考えをめぐらしているのでとても面白く観、感銘を受けた。友を裏切り、妻子を捨て、親と反目したままならたとえ成功してもある日チンコがとれてしまうぞ、という比喩として的を射た話を堂々と展開できる監督にはその不安はなく、ちゃんとやれているのだな、とも思う。それは立派だ。ところで女性による傑作チンコハンティング映画として「密猟妻?奥のうずき」(脚本いどあきお、監督菅野隆 81年)があることも記しておきたい。
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